katka_yg
katka
2025/04/15 (火) 13:31:04
「ガーゼィの翼」オリジナルサウンドトラック、を聴く。鷺巣詩郎作曲。今、原作小説を読み返す前にイメージとして思い返してみた、わたしはわりと嫌いじゃないテーマソングを聴こうと思ったのだが、ついでにアルバムを聴き直す。
OVAガーゼィの翼は、現在のアニメ愛好家の基準では映像的にさほど楽しめないか、むしろ好事家(マニア)が面白がる代物で普通にあんまり勧められない。だが、OSTは単独の音楽作品としてそれなりに良質なのでまた説明に悩む。それも作曲家の関心から「鷺巣詩郎の音楽」といえばこうかというと、そうでもなく、同年頃のエヴァンゲリオンとは方向が違うし、無論まだ天野正道とタッグの頃でもない。こういうのってわたしは鷺巣詩郎より池頼広のどれかを今連想していたのと、シンセの音を聴くにつけ古いコミックのイメージアルバム……寺嶋民哉とか蓜島邦明とか……を連想してしまい、やはりなんともいえない時代感がする。
富野音楽ではこの後つづく、菅野よう子のハナモゲラ語~というわけでもなく、このガーゼィの詞を歌っているのは英語だ。この「Garsey's Wings」と、だいぶあとの「リーンの翼」の音楽(樋口康雄)を較べてみたりすると、オーラロードの音楽といえば人は違っても意外にこうなってしまうのか……? みたいな、面白さでもあった。
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エクソダス/白鳥伝説
ガーゼィの翼にOST以外に音楽のイメージがあったわけでもないがこのあとまた考えごとをしていた。
バイストン・ウェル物語はだいたい地上界から落ちてきた普通の青年が主人公なので、もともと「亡国の王子」のような素性はない。「英雄伝説」(ヒロイック・サーガ)の副題がついていることはあっても、先代・先々代に遡る復讐の歴史と家名再興のような伝統的なサーガ観をやっているわけではない。
『リーンの翼』のアマルガンと迫水の決起は、もとは天命だの、時代の民心にその要請があったわけでなく、荒武者アマルガンの野心に発している、国盗り物語として始まる。
『オーラバトラー戦記』はドレイクら騎士の時代の終焉を語った後、急激な近代化と新世界体制への統合を謳う覇権主義の台頭を挙げ、ジョクはレジスタンスに身を投じる。
『ガーゼィの翼』は、帝国に叛旗をひるがえすとか世界秩序の問題より、現状の圧政下からともかく脱走しようとする民族大脱出(エクソダス)が物語序盤の目的になる。バビロン捕囚か出エジプトはイメージにある。エクソダスと、日本武尊の征戦とはまたベクトルが逆のようで……『ガーゼィ』中で日本武尊がクリスに何をさせたかったのかは今よくわからない。
そのあとさっき、天野正道作曲の吹奏楽曲「出エジプト記」(2000)を聴いてみた。浜松交響吹奏楽団・浅田亨指揮、アルバム「GR」に入っている。聴いてとくにバイストン・ウェル感はしない。このタイトル自体、作曲者もそれほど聖書にもとづくよりは、天野正道さんのいわゆる「架空の映画音楽」というやつでドラマチックで劇伴ぽい音楽のときにパロディめかして言われる。これは魔界転生…。
天野正道プロデュースのバンドで、昨年、ブラス・ヘキサゴンのアルバムに収録の「3つのレジェンド」(三枝成彰,2009)を聴いた。「優駿」の音楽はまたガーゼィより荘厳か美しすぎる気がするが……吹奏楽の音色だと印象が和らぐ。「ヤマトタケル」は、そんな音楽の連想で今年の正月に聴いていた。いま、結局あまりガーゼィの翼とは関係なかった。優駿 ORACIONのサウンドトラックは2023年以降配信されているようだ。