蔵書マップ
- 1981 狐と踊れ
- 1983 七胴落とし
- 1983 あなたの魂に安らぎあれ
- 1983 言葉使い師
- 1983 敵は海賊・海賊版
- 1984 戦闘妖精・雪風
- 1985 太陽の汗
- 1986 プリズム ←今ここ
- 1986 宇宙探査機 迷惑一番
- 1987 今宵、銀河を杯にして
- 1987 蒼いくちづけ
- 1987 機械たちの時間
- 1987 時間蝕
- 1988 敵は海賊・猫たちの饗宴
- 1988 ルナティカン
- 1988 過負荷都市
- 1989 Uの世界
- 1990 帝王の殻
- 1990 完璧な涙
- 1990 親切がいっぱい
- 1990 我 語りて世界あり
- 1991 敵は海賊・海賊たちの憂鬱
- 1992 死して咲く花、実のある夢
- 1992 猶予の月
- 1993 天国にそっくりな星
- 1993 敵は海賊・不敵な休暇
- 1994 言壷
- 1995 敵は海賊・海賊課の一日
- 1995 魂の駆動体
- 1995 幽かな効能、機能・効果・検出
- 1997 ライトジーンの遺産
- 1997 敵は海賊・A級の敵
- 1999 グッドラック 戦闘妖精・雪風
- 2001 永久帰還装置
- 2002 戦闘妖精・雪風〈改〉
- 2002 ラーゼフォン 時間調律師
- 2003 小指の先の天使
- 2004 麦撃機の飛ぶ空
- 2004 膚の下
- 2007 敵は海賊・正義の眼
- 2007 自・画・像
- 2009 アンブロークン アロー 戦闘妖精・雪風
- 2009 敵は海賊・短篇版
- 2012 いま集合的無意識を、
- 2012 ぼくらは都市を愛していた
- 2013 敵は海賊・海賊の敵
- 2013 想像しなくては生きていけない
- 2014 だれの息子でもない
- 2015 絞首台の黙示録
- 2016 あなたがわからない
- 2017 フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉
- 2017 オーバーロードの街
- 2019 先をゆくもの達
- 2019 レームダックの村
- 2019 鮮やかな賭け
- 2022 アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風
- 2025 インサイト 戦闘妖精・雪風
これまでのまとめ記事はとくにない。雪風五部『インサイト』発刊までに最初から読み直そうか、と昨年12月にいって『狐と踊れ』から再開しているが、そのまえ前回は4月まで『アグレッサーズ』まで再読していた。
最近は『七胴落とし』『あなたの魂に安らぎあれ』まで。
『言葉使い師』(1983)から「スフィンクス・マシン」今ここまで。
SFマガジン4月号 戦闘妖精・雪風、読切「棘を抜く者」を読む。これは雪風〈改〉愛蔵版(2022)に書き下ろし・収録作らしい。
なので今更だが、シリーズ読者には通念と思う過去エピソードが若干、書き変わる。それはそれでまた、このエピソードから第一作の不安な関係に繋がらない気もするが……。次はブッカー少佐が零に毛筆の持ち方を指導して漢字を書かせているかもしれない。
雪風の命名ってブッカーじゃないの?……だけど、書いたのがブッカーだよ、と。「名付けたのは誰か」に何らかこだわりたい人はいるだろう…。
昔の駆逐艦の名前だとは、零はブッカーに後で教わっている。「どういう意味か」と訊かれたときには、
とこだわっていた。
わたしは上の短編は読んでいなかったのだけど、一日以上時間が経ってふと、前日譚にバーガディシュ少尉がいるのはおかしい気がしたが、まあ、そういう齟齬を言い出せば「ぼくの、マシン」の頃だって何か違和感だった気はする。
雪風は間を空けて書き継がれているので人物の性格が数か月で二十歳ぶんくらい変化していても気にしない、とは前回。五部の連載中、エピソードを読むたび「また知らない特殊戦機が出てくる…」と思っていた。それも恒例。零が同僚の名前を覚えていないらしいのは意外な箇所があったけど、考えてみればもともとその方が意外でないのかもしれなかった。
『言葉使い師』から「愛娘」SFマガジン82年3月号初出
話の落とし所のジョークは弱くて拍子抜けな気分で終わるが、それはあまり重要でない。女性についての話で、男はもういらないのかい、という幾分コミカルな苦笑的な男性目線をまじえる。
この短編の見どころはやはり、妻の姿形が急激に変化してからの、変容、変態というか脱皮するように生まれ変わるグロテスクな、妖しく魅惑的でもある経過の描き方だろう。
宇宙や、遺伝子のことを除けば、わたしは最近もリーのHunting the White Witch(1978)中でも「老女の若返り奇跡」シーンを読んだ。それは魔術だが、その場の人々はやはり畏怖に打たれながら、「やめてくれ、冒涜だ」と叫ぶ博士もいる。2020年代から読み返して、こういう「老女の全身が角質化し、ひび割れて、中から羽化するように美少女が現れる」イメージってそれほど冒涜的だろうか、おぞましさや驚きをまだ感じなければならないだろうか……のような連想で、思い出した。今は見慣れているようだ。
それとべつに、作中、宇宙で生まれた子はより宇宙に適応するだろう、との続きに「空間位置関係を把握する能力にすぐれているとかね」と触れているのは、1982年頃だとガンダムだろうか。わたしはその当時事情が確かめられなくて、この作品集を読み返すたび思っている気がする。神林作品にあんまりガンダムへの示唆言及は見当たらないと思うがアニメ文化にはちょくちょくある。
『言葉使い師』から「美食」「イルカの森」今夜ここまで。
「イルカの森」は『魂の駆動体』や『Uの世界』から後に思い返し連想するとは以前に書いた。アラスカというと『猶予の月』だけどその取材についてはそちらの後書きかに書いてあった気がする。わたしの連想のはなしで、そんなに大事なことじゃない。
『言葉使い師』から表題作。この短編や"言葉使い師"というワード自体、後々にわたる幾つもの作品の下敷きになっていて、読者も神林作品を読むときにはこれを読んでる前提が当たり前すぎて、いちいち言わない、くらい。直接の続編というと『言壷』かな。
わたしは最近富野由悠季小説、F91の話題で、この魔術師めいたのと真逆かのような文学観を読んだ、ような気がし、今その連想があってあらためて面白かった。
この冒頭にある「テレコイタス」という語は、『七胴落とし』では「テレコイッス」と言われていて、わたしは後者のほうが少し好きだったりする。響きが。あとホロンセックスとか。
そのときは『精神性愛は危険だからやめなさい』は面白いな、といっていた。
作中作の『墓から墓へ』はのちに『完璧な涙』でまた思い出すだろう。
『敵は海賊・海賊版』(1983)読了。しばらく放ったらかしすぎた。つぎは『戦闘妖精・雪風』、前回〈改〉で読んでいるからこんど旧版で、データ登録し直すついでに読み直す。
これは『雪風』旧版の文庫からだが、「破滅した」のところは〈改〉では「壊滅した」になっている。すぐあとに零が「ほんとうに壊滅したかどうか」と思っているから文章の続きとしては「壊滅」のほうがいかにも正しい。軍隊の通信文としても普通は壊滅の語が使われそうだ。かといって、これは誤りだろうか……のような、旧と改を何度も行き来していると字句の同異で時々思ったりする。無論今現在、出版されているものは〈改〉が決定版だからマニアの片端な興味でしかない。
これは前回どこで言ったんだっけ……騎士道のところか。
この「ジャム人」のところは雪風ファンの間では言われ尽くしたことで、ジャムでいい、いやここはジャム人だ、とか言われたことだろう。さっきのはそうでなく、口に昇すときの響き。
こういってみると、おおよそほとんど「詩集」みたいな気分で再三読み返しているからな。現代日本語でその気分で読める作家に今も乏しくて飢える気持ちは、まあ同じ読者ならわかっているだろう。
ひと月ほど空き続き、「不可知戦域」。「むは」などある旧版より。今こちらは置きっ放しになっている……というわけにもいかないか。
「インディアン・サマー」を読む、今4。
「全系統異常なし」まで。
『戦闘妖精・雪風』読了、つぎ『太陽の汗』。
『太陽の汗』については前回、同年(1985)の水見稜『不在の惑星』の折に言及しているが、水見稜を現代に読み返したり紹介することにはかなり無理がある。
また、西村朗による音楽詩劇「不滅の国を求めて」(1979)を聴いたときにも連想をしていた。それは、「結局、戦闘機の設計技師とギルガメシュに何の関係が…?」というのと、「結局、この話のペルー要素どこ?」というのが似た感じだ、という。
えーっそこ!? それペルー要素なのか……でも、そうだ。
水見稜作品は『マインド・イーター(完全版)』まで挙げて、今やんでる。
「戦闘機の設計技師とギルガメシュ」というのは、『あなたの魂に安らぎあれ』の際にも思い出していて、神林先生にはその頃関係あったとは思わないが、わたしの今読むには時代背景のように思えている。
『太陽の汗』読了。つぎ、『プリズム』。
本筋ではない一場面のイメージだが、「まばゆい空へ落ちてゆく」というのはこれではないだろうが、ただこの文章からそれを連想していた。