少年シーブックは少女セシリーにはじめ好感をもたれたあと、思いっきり嫌悪されるような成り行きになったのだが、彼も彼で彼女の態度にも幾分身勝手で腹立つ。セシリーの手首を掴んででも引っ張っていこうとするシーブックはその場はもう無我夢中、支離滅裂だ。
「やめてっ! 痛いわ! どういうことなの」 「出りゃいいんだよ!」 「……!?」 セシリーは、正面切ってウソをいい、しかも、こうしてまで自分を引きずり出そうとムキになっているシーブックにほんとうの興味をもつと同時に、試したくもなった。意地悪をする、といった方がいいかもしれない。
この場で初めてセシリーはシーブックに「本当の興味」をもつ。作中の時間経過があり、のちにシーブックが死んだと思い込んだときは、セシリーは涙を抑えきれず、
『あのシーブック……!』 意識のなかの言葉は、それだけだった。 セシリーは、とても良い友達になれるはずのボーイフレンドを失ったと思い知った。
ボーイフレンド認識になっているのは爆撃下の避難劇でシーブックが助けてくれたから、でもなくて、セシリーは例の時点ですでにシーブックを「良い友達候補」と認識していたのではある。ただし、一般的にそういう関係は悪友ともいう。 一度は自分の気持ちを裏切ったにせよ、セシリーが誰かを本当に嫌悪するときは、
セシリーは、その最敬礼をするシオをもう二度と顔を見たくない男だと断定した。
のように頭から断罪している。だが、セシリーの中でのシオの認識がそうなる過程には、シオ自身の意思でもない他者の意図が介在していることに、その後わずかの時間でセシリーは気づき始める。
肉食獣は己の力量に見合う狩りの獲物、好敵手に、飢えているものだ。その性向こそナディア譲りといえば、そうかもしれない。作品テーマでは「高貴さ」や「騎士道」に絡めて語れる。それは続き。
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セシリー・フェアチャイルドの友達観
少年シーブックは少女セシリーにはじめ好感をもたれたあと、思いっきり嫌悪されるような成り行きになったのだが、彼も彼で彼女の態度にも幾分身勝手で腹立つ。セシリーの手首を掴んででも引っ張っていこうとするシーブックはその場はもう無我夢中、支離滅裂だ。
この場で初めてセシリーはシーブックに「本当の興味」をもつ。作中の時間経過があり、のちにシーブックが死んだと思い込んだときは、セシリーは涙を抑えきれず、
ボーイフレンド認識になっているのは爆撃下の避難劇でシーブックが助けてくれたから、でもなくて、セシリーは例の時点ですでにシーブックを「良い友達候補」と認識していたのではある。ただし、一般的にそういう関係は悪友ともいう。
一度は自分の気持ちを裏切ったにせよ、セシリーが誰かを本当に嫌悪するときは、
のように頭から断罪している。だが、セシリーの中でのシオの認識がそうなる過程には、シオ自身の意思でもない他者の意図が介在していることに、その後わずかの時間でセシリーは気づき始める。
肉食獣は己の力量に見合う狩りの獲物、好敵手に、飢えているものだ。その性向こそナディア譲りといえば、そうかもしれない。作品テーマでは「高貴さ」や「騎士道」に絡めて語れる。それは続き。