ニュータイプ・セシリー
十五章つづき、シオが退場していく一方、ロナ家に居場所を見つけないとならないセシリー=ベラは『まずモビルスーツの操縦のひとつも覚えよう』と考える。生身のセシリーは自動車(エレカ)の運転もしたことがない、普通の普通科の高校生だが、ザビーネについて操縦訓練を始めると途端にめざましい才能をあらわす。『F91』作中最大の謎といってもいい。ザビーネは「ニュータイプ」との評を口にする。
「モビルスーツの基本動作のプログラムが適切だったから、素人にも使えるものになっているのでしょう」
「ベラ様は、モビルスーツは、きわめて柔軟性のあるものだ、という感想を述べられました。そのセンスは、まず第一級の素養をもっている証明です。自分は何人もパイロットを育てましたから、この評価は信じて下さい」
例の、アムロ・レイ伝説とか、「わかるよー」で分かってしまうクェスほど過激なエスパー的説明ではないが、機械本来のコンセプトからそのありよう・使いようを初めて触れて素直に学べる……というような、穏当な言い方に聞こえる新手のニュータイプ観になる。なんかわかった! ではある。それが原理原則だからでもある。人の話に耳を傾ける、聞き上手だからかもしれない。
「最近のモビルスーツ=素人にも使える優しいマシーン」というマシーン観の方は、このしばらく後にテンダーギアの俗称に再び見る。
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