「海賊をやるのか?」
「あの船はやる。手ごろな敵だ」
「商船ではないのか?」
「そうだ。軍艦をやるだけの力は、ゼラーナにはないな」
このやり取りに旧版ではとくに解説はない。見えているのは商船らしいが、商船を襲うことに迫水に躊躇いがあるかのようか。「商船みたいだがやっていいのか?」
完全版では、「ガダバの船らしい」という迫水には意味不明の言葉が先に聴こえてきて、上のやり取りには……アマルガンの発言はちょっと矛盾するようだが意味を考えている暇はない、という書かれ方になる。迫水の台詞は、「あれはもしかして軍艦か?」という意味に近くなる。まるで作者自身が自分の文章を読み返して戸惑い、台詞の解釈を変えたみたいだ。
通報 ...
これは面白い……。マニア的な興味にすぎるかもしれないけど、これは興味のある読者に読んでみてほしいな。それか、数十年後に「富野由悠季全集」のようになったときに、註釈をつけてこまごまと解説を付す。その頃には古典として翻訳の関心にもなるだろうか。もっとも、わたしの生存中ではもうなさそうだ。
章おわり。この通読はあえて「1日1章」と決めなくていいはずだけど、時間的にはこうなるのでもあるね。これだとまだ何か月もかかってしまうが、時間がかかっていけないことは別にないしな……。富野話題にかかりきりだと、Xの雑想とposfieのまとめのような記事を別にどんどん増やしていくようでもある。