続けて、アマルガンとの対話ふたたび。これもかなり長いが完全版では省略。前章の対談と気分的に似ているからかもしれないが、前巻9/6章のときに触れた「死に損ない」意識にかかわるからとも思える。完全版では、早くから虚無感描写を強めていくのを抑えようとしているのかもしれない。
ガダバの国崩しをする決意をアマルガンに吐き出させる。アマルガンの手勢なるものはガダバに対して微々たるものでしかないが、訊ねる迫水にも何を失うものがあるわけではない。「何年かけてやるつもりだ?」と訊くのは自分自身に皮肉混じりだが、
「命のある間に……」
「凄いな」
ここの応答の凄みは、カットされるのが惜しい……。男として見込む、ともに戦ってくれということだ。それでもアマルガンと迫水の間の隔ては埋まらず、何かでもいい、多少でもいいから、生き死にを賭けるに見返りを求めたい、とぶつけるまで。
このあとシャーン・ヤンがもっと物分りの悪い殺伐な悪態をくれて、ゲリィがやはり見透かしたような微笑をくれる、女達の諸相があって続く。
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