かとかの記憶

アケローン民話 / 35

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katka_yg 2026/09/03 (木) 17:52:08 修正

シーツリーを放浪する船乗りの日誌

  • 幽霊を見たことはある? 海賊ってこわい? 旅したいなー。…冒険するって夢だって、知ってるけど
  • でもやっぱ、やってみて言いたいし、もしかして死ぬかも、なんて
  • ファブニールよわいなー。わたし強いのかな? (……って、言ってみたい)
  • 今日プッチさんにあった。相変わらずマドロスさんで、雇われ水夫であちこち転々してるみたい
  • わたしのこと覚えてるって聞いたら、覚えてねーよチンクチャって言われた。傷つく
  • 船に乗らないときはハトバでサカナ釣ってるらしい。変わんねーなァ、て言ってた。目がさめたら夢だった
  • 鍛冶師の人に船の武装をみてもらった。《たんぽぽ号》は軽量すぎて、大砲を積んだら船が傾いてしまう
  • 銛撃ち機でも積んどけって言われた。傷つく。でも鮫はこわい
  • 風が凪いで死ぬほど蒸し暑くて、そのあいだボートをおろして、裸足で海水に浸けながら本を呼んでたら
  • 何か、足がつんつくするので、見たら金赤の熱帯魚が集まって皮膚をかじってた。鮫ならわたしは死んでた
  • マグノリアさんは良い人っぽいけど、ちょっとこわいな。でも嫌いじゃーないんだなー。美人だしでへへ
  • 友達に腹立つことあって、昼間のこと日誌に猛烈に書き込んでたら、まだ起きてるの寝なさいっていわれた
  • 大工の人に、少しは船の掃除しろっていわれた。女子の部屋に失礼な。でも船体修理と洗浄はしてくれた
  • 浅海に入って、ゆったりと入江に進んでいく船の下は、底の珊瑚の色を見分けられるほど透明な水の層を
  • おおきな魚影が横切ったので、すわ鮫か!……と思ったけど、ただの祟られた人魚だった
  • 謎に包まれた暗黒大陸。伝説のアスラ川を船は遡っていく。《たんぽぽ号》は吃水が浅く軽量なので
  • こんなときカヌーのような芸当ができる。川の左右は未開のジャングル、人類未踏の謎の国。キョホホホと
  • 鳥なのかサルなのか謎な鳴き声が森に響く。上流の川べりに船をもやって、塩の固まった平原を半日歩く
  • めざす集落では、最近増えてきたという開拓民の人々が迎えてくれた。彼らにインタビューを試みた
  • 「この土地は最近浮上したそうだけど、あなたたちはどこから来たの?」「いろいろだ。いろいろな国、
  • いろいろな世界から。皆、元いた場所に見切りをつけてきた者だ」頭上に揺れる裸電球が瞬いて消えた
  • 停電はよくあるという。ろうそくの火に照らされた人々の顔は人種も性別もまちまちで、キャラも曖昧で
  • 夢の中の幻みたい。手から手へ回された、勧められたそれをわたしは断った。たぶん違法シナユニだと思う
  • 放浪者のわたしがアスラのリーダーに立候補しようと思ったけど、高卒資格が要るって、嘘……だろ…?
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    katka_yg 2026/09/03 (木) 17:57:11 修正 >> 35
    • 「今日の海の気分はどうかな。船に乗るかい?ちなみに乗るのは俺もはじめてだ」おまえ陸サーかよ!?
    • イリアはにぎやかな国だと聞いていても、遠くてここまで来たことなかった。港に《たんぽぽ号》を泊めて
    • ハーバーの使用料を払うと、逆に何日か余分に滞在しないと割に合わないって思った。人間の宿泊費は安い
    • 温暖な港町に滞在中、海辺の魚だいぶ釣って、あと、ここの大魚はわたしの手に負えなかったので、最後は
    • 冒険者のネットで見た「山方面」を攻めてみようとトレッキング装備を固めた。「定番の穴場」だそうだ
    • ふもとの神社に参拝し、峠越えの道を行く途中、脇に目立たない登り口がある。こっちは裏ルート
    • 登り道は藪が深くて、秋口でも長袖必須。やぶ蚊よりヒルが危ない。蜘蛛の巣だらけ帽子必須。登りきると
    • 藪を抜け、木々が開けて、そこに静謐な沼が広がっている。思わずほーーっと息をつく。水辺には
    • 昔のミサイリスト像が立ってて、どれも風化して首がもげていた。たぶん一万年くらい人の目に触れてない
    • 列をなして並ぶ首なしトルソはぶきみだった。でも足下に転がる石頭の、このひとたちの温和な無表情には
    • 斬首された仏陀みたいな寂寥感あった。沼のはたに座って釣り糸を垂れていると、時を忘れるみたいで
    • 静かだ。静止した沼が木漏れ日を映している。気がつくと……緑色の水面に、緑色の頭が一個浮かんでいて
    • こちらをじっと見ていた。ぬっと水から浮きあがり、そいつはこちらにざばざばと歩いてきた
    • わたしはとっさに釣竿を捨てて、護身用のデリンジャーで当てられる自信なかったけど、固まってしまい
    • 不審者に襲われる小学生の気持ちわかったと思った。狂暴性をふりしぼり、近づいてくるそいつに
    • 「南無八之地大菩薩」の八字をとなえ、しゃあっと髪を逆立ててやると、威嚇におびえたのか向きを変えた
    • 河童の飛び込んだ沼にどぼんと波が広がって、興奮のさめないわたしは、あんなゴブリン敵じゃないわって
    • 言いたいけど、あのまま襲ってきたらきっとわたしは死んでた。正直こわかった
    • ニオベからカーク海域に入ると潮の色が変わる。空は灰色。この暗い空の色が、わたしには今なつかしい
    • 船の向かう先は、わたしの島。波の上に標識ブイはなくても、海にも見えない道があって
    • 遠くの海を見てくると、それがわかる……丘の上に、うちのアンテナがみえる。工作所の鉄塔が見えている
    • 岸壁に船をつないで、身ひとつで船をおりた。波に洗われたコンクリートはローファーだとすべる
    • 海に出て手に入れた、この島はわたしのたったひとつの領地。もちろん生まれ故郷じゃないけど
    • ときどき帰ってくるここを、「わたしの家」というのかな。管理人さんに任せてあった、わたしのお花畑は
    • わたしの手入れよりずっと綺麗にしてあって、ずっと元気そうな草花たちにわたしは少し嫉妬おぼえた
    • 花壇の前で沈んでるわたしのメランコリーを管理人さんは放っておいてくれた。二時間くらいして
    • わたしは部屋の勉強机から、窓の下の花壇をやっぱり見ていた。電子サンドイッチ、海月味コーヒーゼリー
    • 来週にはまた船出する。わたしがこのまま、二度と帰ってこなくても、春には咲くんだよ
    • 期末試験があけてようやくまた船に乗れる。海に出れる。《たんぽぽ号》の舵は錆びついてない?
    • フジツボついてない? 友達と仲直りはしたけど、わたしが船乗りってことは言えない。たぶんずっと秘密

    《シーツリーを放浪する船乗りの日誌 たぶんつづく》

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    また民話、説話というわけではとくにない。これは過去に、Sea Treeのゲーム中のアイテム「釣り日誌ノート」(自分だけの記入する単文テキストを投稿して公開できる)で『電子海のはなし』の小花をフィーチャーして連続投稿していたもの。アスラの初期頃について触れているから2016年頃か。事典から用語に注記を入れつつ再掲。

    小花 - Acheron Archives Wiki*
    アンディーメンテ作品についての資料庫です
    Acheron Archives Wiki*

    『旅したいなー』はリスト表示から小花のプロフィールに書いてある。