この電子書籍はTHE WORLD FANTASY AWARD-WINNING AUTHORと書いてあるGatewayの黄色い表紙のシリーズ、捜したときに同タイトルに複数の商品があって廉価だったからこちらを購入したが、先日みたらAmazonからその版のページは消えているみたい。本作(Electric Forest)にはすでに別版が行われているので、以後レビューを書くときにはそちらにリンクする。
Magdala's mouth, mobile with laughter, contorted and closed. She regarded the broken shell, her eyes swelling as if to cry, yet without moisture. The habit of tearlessness prevailed.
――Electric Forest
読み始める。いま序文だけ。わからん。
この電子書籍はTHE WORLD FANTASY AWARD-WINNING AUTHORと書いてあるGatewayの黄色い表紙のシリーズ、捜したときに同タイトルに複数の商品があって廉価だったからこちらを購入したが、先日みたらAmazonからその版のページは消えているみたい。本作(Electric Forest)にはすでに別版が行われているので、以後レビューを書くときにはそちらにリンクする。
新たに購入するなら現行の版を求めればいいだろう。カバー画像もきれいなようだし。
前回Volkhavaarのカバー画像にダメ出ししていたが、その版も削除されて商品ページは一本化されたようだ。いいこと。ダサかったからな。わたしの場合は、300円と1300円くらいで安かった方を購入したので、仕方ない。
Volkの場合は文中に誤字がいくつかあったが分かる程度でそう問題にしなかった。こんど、Electric Forestも似たようなものだろう。章に目次リンクは付いているがツリー下になる節には付いていない。
Volkのときには、電子書籍化する際の底本に差異があってそれが古いのかもしれない等言っていた。後々に文学研究するようなことでもあれば校正の怪しいバージョンは心許ない、困ることもあるだろうがわたしは今そんな段ではない。読めればいい。
「ヒロインを絶対に美少女と呼ばないルール」は前回、ジュブナイル二作を挙げていた。今回はさらに極端、世界は一見ユートピアなのに主人公一人にはディストピアのような居たたまれなさ。
先日までVis三部作からの続きでもあり、わたしは今だったら、美であれ醜であれ特別な存在のしるしを負ってしまったこと、スティグマという語をまず浮かべる。
それと、リーの文章は色彩的かどうかについて、一概にそれとばかり言われるのはどうか……だのと呟いていたけど、本作は誰がみても最初からカラフル。色の洪水。
2まで。この本にはやはり点々と誤植があるが、おおむね見てわかる。ピリオドが欠けているとか、「All」が「AH」になっているとか、「you」が「yon」とか、旧式のOCRにありがちな粗っぽいことはこちらも慣れているので、あまりに多すぎなければ気にしない。
文がごそっと抜けている、文意がおかしいなどは、「底本の別か?」など怪しむのは、それはそれで推理は面白いのだけど無ければ無いほうがいい。
だいたいこのバージョンの電子書籍はもう売ってない、と上で書いているんだからここにそのメモしておいてもわたし以外に誰の問題でもない。最近の新刊でも校正の粗は普通にあること。古本を電子化したものに特有のエラーはそれとして目立つ、という話。これは15年くらいも前のファイルなので、現在の精度はずっと上がっているはずだ。
"Tri-V style"の話法が強烈に印象的なのは、何とも表現のしようがないな。「独特の魅力」などとは、映画の真似なのでいいようもない。
タニス・リーは実際に当時のTVドラマの愛好者だったらしいが、わたしは今から遡ってそこにどんな引用元ネタや言及があったとしてもわからない。でもこの、必要最低限の台詞だけでぴしゃりとやる、相手の言葉を鏡写しに返す言い方が、昔の映画のヒロインっぽいのもたんに本人が人見知りとかコミュ経験がないからというのは楽しい。
ウェルズの「マーダーボット」シリーズをこのまえ読み始めていたけど、これとは違うがTVドラマの引用で基礎学習しているような節が似てはいて面白いかな。
I, Claudius
You, Claudio...というと、"I, Claudius"という響きを反射的に連想してしまう。ロバート・グレーヴス。何か関係があったっけ。以前なんの経緯だったか忘れたが、手元にある。今読んでみようか。
これは蔵書中にあって本当に読んだのかわたしは疑問になるが、開いて一章読んだところでもう面白い。なんでロバート・グレーヴスに興味を起こしたのかは、たぶん『白い女神』についてではないか。それも、いま題名しか憶えていない。
白い女神、だったら今ここのタニス・リーについても別の意味で大いに関係あったろう。最近、ジェイン・ヨーレンを少し読んでいたがヨーレンにも同名の小説があって、このあたりの裾野はしばしば重なるのは普通。
"I, Claudius"は1976年にBBCでTVドラマ化されている。Electric Forestの"Tri-V style"と何か関係あるかはわからないが、読み返すにはちょうどいい機会だ。
『白い女神』は、古代宗教のたとえばアフロディテとかアルテミスのような「大女神」からの関心ではないか。いま、世界宗教史のトピックではそれは個別に取り上げられないと思うが、ヴィーナスの神話やそれらその頃の一連のうちだ。
ヒュプノティズム、ははっきり書いてある。最近のわたしのそれはフェミニズム作家のそれと、ストリンドベリのときに読んだ。タニス作品通読ではもちろん頻出するが、ヒュプノティズムとそう書いてあるのは初めて見たきがする。
別件でしばらく前線中断していたけど、再開して読了。150ページくらいだったのだが……あと後章がまだあった。
このストーリーはドラマチック優先で……あまりハード路線のSFではないだろうし、サスペンスもなにか話の辻褄が合ってないような気がするが……細かいことはともかく強烈な感情の駆けるままでいい!な感じ。読み物の面白さは申し分ない。分析的に細かい逐一の要素を挙げればファンとしてはたくさん言いたいことがありそう。
すごくフェミニズム小説っぽい書き出しで、途中では男性支配者のヒュプノティズムという言葉もあからさまに出てくる。でもリーはフェミニスト作家だとはいえ、それをフェイントに、それではないもっとコアなところに踏み込んでくるんじゃないかという予期はあって、虚実がめぐり、タイトルの「Electric Forest」に戻る。これはやはり戦慄を誘う書き手の上手さ。
それとべつにして、作中、主人公の台詞の喋り方の奇妙で魅力的な面白さ。コミカルというか、作中で「TVドラマ的」のような言われ方をしているから、そうなんだろう。リー作品のキャラクターでも独特なんじゃないだろうか。美しいか・醜いかへの思索はこれまでも続けて興味のこと。
リーの小説でも本作はとくに色彩豊か、というよりは、色彩の洪水。最初から、ここは惑星Indigo、季節はBlue…みたいな調子で、たびごとに色の名前の列挙羅列といってもいい文章を織り込む。耽美でもやりすぎでしょというのがあって実はそれも、最後のページに最後の色を語るための導線でもある。