遊資を追う! 「Wild Hot Money Chase」の掲示板 <2>(since 25th Aug 2023)
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長島のプレーは引退試合だけ覚えている。
V9が達成できたのはやはり「総合力」が原因じゃないでしょうか。1番の柴田(勲)から始まって土井(正三)、ワン(王貞治)ちゃん、僕……そして下位打線まで含めて、それぞれが役割を果たしていました。
特に強かったのはV3からV6までの4年間だね。あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ(笑い)。
その頃のジャイアンツは先制されることが多かったんです。でも0-4とかで負けていても、「よし行くぞ」「やってやろうじゃないか」という声がベンチで自然に上がり、チーム一丸となってひっくり返してしまう。あの4年間はそういうゲームが多かったですね。
僕の中では、たとえ後手に回っていても、3番、4番に回してくれれば何とかするぞ、という気持ちがありました。ワンちゃんがダメでも僕が、僕がダメでもワンちゃんが何とかする。それで実際、ONあるいはNOで何とかしてしまったからね。もちろん、そこに繋いでくれる各打者の役割があってこそでしたが。
ワンちゃんはライバルというより仲間、盟友でしたね。ネクストバッターズサークルでワンちゃんがバットを振るのを見ていると、足の上げ方、スイングの様子で、「この打席では打球がスタンドまで飛んでいくな」というのがわかった。そのくらいワンちゃんのことがわかっていたし、向こうも僕のことがわかっていたと思います。
ONはずば抜けた力を持っているといわれていましたね。実は自分たちでもそう思っていました(笑い)。だから絶対に俺たちがやらなきゃいけないんだ、勝つんだという思いが腹の中にありましたね。
思うに、3番と4番が両方ともホームランバッターでなかったのがよかったのかもしれない。タイプが違う打者が並んでいたことがジャイアンツの強さだったと思います。
僕たちは打球の角度からして違う。ワンちゃんの打球は45度の角度で飛んでいく。これがとても良いんですよ(満足そうに頷く)。スタンドに楽々届く、本物のホームランバッターです。同じホームランでも僕のはライナーだったからね。僕のスイングじゃ打球は上がらなかった。これは勝負にならないと思いましたね。
だから僕はワンちゃんをライバルにするのではなく、自分のバッティングに徹したんです。ワンちゃんはスタンドまで飛ばす力があったが、僕には野手の間に打球を飛ばす技術があった。左中間や右中間を抜いて二塁打、三塁打にするというつもりでバットを振っていた。ワンちゃんは天性のホームランバッター、僕は中距離打者。タイプが違い、チームに貢献する役割も違うところが最高のコンビだったと思います。
共通するのは、お互いによく練習したことかな。とにかくバットを振りましたね。僕はよくいわれているような天才肌ではありません。遠征先でも常にバットを振っていたし、夜中の1時、2時でも気になれば起き上がって素振りをした。そのためにいつもバットを枕元に置いて寝ていました。
絶好調のときは、ボールがドッジボールくらいの大きさに見えたこともある。その状態を続けるには、やはり練習しかないんです。遠征先では宿舎に帰ってから、東京では帰宅してから、納得いくまでバットを振りました。人のいないところで、自分の技と夢中で格闘したものです。努力は他人様に見せるものじゃない、という考えがありましたね。
ワンちゃんには荒川(博)さんという師匠がいたけど、僕には師匠と呼べる人がいなかった。もちろん荒川さんは打撃コーチとして僕にも教えてくれましたが、ワンちゃんのような師弟関係ではなかった。
それで僕は、強打者と呼ばれるいろんな人に教えを請うたものです。ライバル球団・中日の中心打者だったブンちゃん(西沢道夫)ともしょっちゅう打撃論を交わしましたし、立教大の監督だった砂押(邦信)さんには、プロになってからもバッティングを教えてもらいに自宅へ押しかけた。さすがに砂押さんが国鉄のコーチ、監督になった時(1960~1965年)は、「ライバル球団だから教えられないよ」と言われてしまったので困りました(笑い)。
巨人ナインともよく話をしました。食事をしていても、いつの間にか野球の話になる。というか、野球の話しかしなかったね。キャンプや遠征で一緒に食事すると、野球論ですぐに2時間や3時間が過ぎてしまう。あの頃は24時間野球漬けだったんです。
もちろん宿舎の部屋でもバットを振っていました。障子に向かってバットを振ると、ピシッピシッと音がする。バットスイングの風が共鳴するんです。それが一番いい音で、その音を目指してみんなで素振りをやったものですよ。
そういえば裸、フルチンでの素振りもやりましたね。ワンちゃんは荒川さんの道場でやるときはパンツ一丁だったけど、僕は裸で素振りしていましたね。もちろん夏場ですよ。冬は寒いから、さすがにフルチンじゃない(笑い)。
ただこれは言っておきますけど、暑いからフルチンでやっていたわけじゃないんです。フルチンじゃないと、上半身と下半身のバランスが分かりづらいんですよ。いいスイングは下半身がグッと締まる。下半身が小さく、静かな状態でないとダメなんです。大きく激しく動いて、アソコが太ももにパチンと当たっていてはダメなの。何て言うかな、“プシュッ”と当たらないといけない。上半身と下半身のバランスがいいと、アソコが当たるときにそんな音がするんだよね。とにかくアソコが……あれ、これは一体何の話をしていたんだっけ(笑い)。