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有事で、ある識者の意見
「有事の米ドル買い」の機能不全、背景には米経済の相対的優位性の低下
「有事の米ドル買い」とは、基軸通貨として代表的な安全資産と位置づけられる米ドルが、「有事」において緊急避難的に選好されるという意味だった。それがなぜ1990年以降は機能しない局面も出てきたのか。
1985年の、いわゆるプラザ合意では、先進国が実質的な米ドル切り下げを行った。その背景には、米国の経常・財政「双子赤字」拡大により、米ドル高での維持が困難になっていたことがあるとされた。それは、換言すれば世界経済における米経済の相対的優位性の低下ということだった。「有事の米ドル買い」が機能しなくなったのも、基本的には同じ脈略で理解された。
トランプ不信でむしろ加速した「米ドル離れ」
今回、米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけに米ドル高になると、これを「有事の米ドル買い」と説明する向きが少なくないようだ。
では、これまで見てきた「有事の米ドル買い」が機能しなくなった状況が変わった、つまり「有事の米ドル買い」が復活したのか。
CFTC(米商品先物取引委員会)統計による投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションから試算)は、イラン攻撃が行われる直前に大幅な売り越しとなっていた(図表3参照)。
この売り越しは、1月23日の米通貨当局による米ドル高・円安けん制の「レートチェック」から急拡大したものである。
これを受けて、米通貨政策の責任者であるベッセント財務長官は、「強い米ドル政策に変わりない」と再確認を余儀なくされた