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腕時計情報と「時計タケノコ生活」 / 283
市場に蔓延する精巧な贋作
カラフルな彩色のインパクトが強いヘドラだが、「この体の真ん中と頭頂部に置いた黒、これで一気に雰囲気が散らからずしっくりくる。職人さんの抜群のセンスを感じます」と、やかんさん
やかんさんが「アート」と言ったように、ヴィンテージの怪獣ソフビは、もはや骨董美術品の域に達していると言っても過言ではない。それゆえ、これらが外のバイヤーに投機対象として買われたりするケースも増加傾向にある。さらには、専門家でもなかなか見分けがつかないほどの精巧な贋作も登場しているという。
%%{fg:blue}さらに、自前でリペイントを施したものを「珍色」「未発売のサンプルカラー」とうたったり、すり傷などのダメージ加工を施し経年劣化を装ったり、状態のいいパーツを組み合わせて美品のように見せたり、さらにはマジックで名前を書いたりするようなものも存在するという。
そしてそれらがネットオークションなどで高額で流通する事例もあるというイリーガルな世界とも隣り合わせのような現状がそこにある。それこそまさに「ニセウルトラマン」と言うべきか、怪獣ソフビはいまや骨董美術品と同じ様相をみせているのである。%%
「これまで幻の存在とされてきたようなブルマァクの珍しいソフビが一斉に出回りはじめたんです。そのほとんどが贋作でした。国内で作られたものもあれば、中国でそっくりに作られたものもある。ポピーから発売された超合金やジャンボマシンダーといった怪獣ソフビ以外の人気ヴィンテージトイも、同じような状況になっています」
さらにいえば、これら贋作が出回り始めた頃から時を経て、贋作でありながらも経年による変化が出てきているという現象も起こりはじめている。
「経年変化を起こしたものが市場に溶け込んできています。ネットのオークションが主流となったり、専門店でないリサイクルショップなどでも扱うようになってきたことで、本当の見極めができない人が取り扱うことが増えてきたんです。
ネットの写真だけだと分からないことも多いと思いますが、そういった人たちが騙されることで、ショップの棚に贋作がいくつも並んでいることもあったりする。『詳しいことはよく分かりませんが、旧家の物置から出てきたものです』という文言がついていたり(笑)。
海外のコレクターもたくさん参入するようになって、以前よりもゼロがひとつ増えたような市場ができて、僕らでも買えない世界になってしまいました。今のところはまだどこがピークか分からない状況です」
当時モノの特徴をよく知り、見極めができる人も少しずつ減ってきている。
「あと10年もしたら、本当に本物を見極められる人はほとんどいなくなってしまうんじゃないでしょうか」
と、やかんさんは憂う。
投機ではなく造形の魅力を
当時のモノとその後のモノの決定的な違いとして、原料が現在使われていないものによる、当時モノにしかない「匂い」があるというのが、コレクターの間では有名な見極めポイントである。実際にやかんさんの部屋のコレクション棚のガラスを開けた途端、その独特の「匂い」が広がってきた。だが、
「僕みたいに、古いものと新しいものを一緒に棚に入れておくことで、その匂いがうつってしまうこともあるんです」
と、苦笑い。
そもそもこれらヴィンテージソフビ怪獣のどういった部分がやかんさんたちコレクターをそこまで魅了してやまないのか。マルサンやブルマァクの怪獣たちは、劇中そのままのリアルな造形というよりは、適度にデフォルメされ、時に愛らしくも見える造形だったりもする。それこそが、大きな魅力のひとつだという。
「造形については、赤ちゃんが遊ぶような動物やディズニーキャラクターのおもちゃを作っていた職人さんに作ってもらったというのが大きかったと思います。そして、この20センチほどの大きさに、何とも言えないしっくり感があっていいんです」
高騰が続くソフビ怪獣の世界で、それを取り扱うショップなどには、見極める目をちゃんと磨いてほしいというのがやかんさんの切なる願いだ。そして、ちょっと気になるな、何か買ってみたいなという人に、こんなアドバイスをくれた。
「すごい値段だということで興味を持ってもらってもいいんです。だけど、値上がりしそうだからという基準ではなく、復刻モノでも現行のものでも、なんか可愛いな、かっこいいな、綺麗だなという感覚で気に入ったものを手にしていってほしいですね。そこから好きになっていって当時のものの魅力を感じてもらえたらうれしいです」
本物だけが放つオーラのようなものが、きっとある。ヴィンテージ怪獣ソフビを見て、それを感じた瞬間があったなら、それはご縁というものだろうか。