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ぼく・わたしのかんがえた<エンブリオ> / 31608

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名無しの<マスター> 2026/03/19 (木) 15:26:46 35484@adafb >> 31603

ギリシャ語の名詞は基本的にどの時代、どの地域でもその格に応じて様々な変形を示します。紀元前であれば5×3で15パターン、現代でも2×4で8パターンの格があります。英語のように単語を並べただけでは非文法的になる場合があります。
ここでのδιαβαινωは目的語に対格をとる動詞なのでΕλλησποντον、またはΕλλησποντοとする必要があります。またποντοςは男性名詞であるため対応する定冠詞はο, 対格ではτονまたはτοですがここでは後続する語が母音始まりなのでどちらにせよτονですね。先ほどからまたはまたはと並べているのはあなたのギリシャ語がどの時代を想定したものか分からないからです。ディアヴェーノというようにベータをヴァ行で読むのは現代の発音ですが、一方のヘレースポントスでは語頭母音に古代のハ行音が残されています。古代であればディアバイノー、現代であればエリスポントスとなります。ギリシャ語は古代と現代で綴りが同じでも発音がかなり異なる言語です。ひいては文法も大きく変わりますから、目的語に使うべき対格の形も違ってきます。古代の単数対格はονですが現代ではοになっています。
またギリシャ語の動詞は最低でも6パターンぐらいには変化します。「私は渡る」であればディアヴェーノ、ディアバイノーですが「私たちは渡る」であればディアヴェーヌメ、ディアバイノメンとなります。もちろんこれは一番基本的な形であって、古代であれば最大でも数百個のパターンを考慮する必要があります。もしあなたがプリクソスとヘレーの神話を考慮し、古代で「私たち二人は渡る」としたいのであればディアバイネトンになります。さらに「私たち二人は渡るだろう」と意志のニュアンスを含ませたいのであれば接続法を用いてディアバイネートンとする選択肢もあります。
例えば原作でもペルセポネの《死の先を歩む者(ホ・エピゾーン・メタ・サナトウ)》のようにきっちりと文法を意識した名前が付けられています。サナトウは死を意味するタナトスの単数所有格であり、前置詞メタとともに「死の先」という意味を示していますね。シータがタではなくサなのはやや時代が下った時期の発音を示唆していますが、基本的には古代寄りの音写です。海道先生がこのようにギリシャ語の文法にも細かく気を配っていることが窺えますね。
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