katka_yg
katka
2025/05/19 (月) 21:13:21
第一の物語 完。短いしね。初読ではびっくりしたと思うが、読み返し、この第一話はすばらしい。
富野作品で「納骨堂」なんてゴシックな舞台が出てくるとは思わなくて、おおっと思ったのを思い出す。暗がりの剣劇の映像の間に、蜘蛛の巣にかかった蛾、なんて絵に描いたようなというか……リアルさでない。富野文でこうクラシックに見える伝奇ファンタジーを書いてもいけるというのが感動した。血みどろのゴアとかなら、バイストン・ウェルでも見慣れてる。
やはりこのアカイアーの話がわたしはまず好きだな。これから何が始まるのかと思う、なんの話をする気なのか全然わからない。続く第二話がまた、グロテスクなというよりは、みょうに定型的なはなしで、なんかの説話文学のような古典にモデルを取ってるようには思うけど、インドなのかペルシアなのか中国なのか……と思うのはそのあたり。二巻からは一挙に違うものになっていくはず。
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これも去年か、クラーク・アシュトン・スミスの三巻本を通し、これも再読ではあったがその際、毎回のように納骨堂、腐敗、屍臭。「またか、飽きないのか」のように思えて、文章の美しさよりうんざりする方がつのった。
スミスのそれは……ラミアか。ジーニーとかグール、ピシャーチャとも言ったが、ラミアというのもいた。
またBirthgraveの話をすると、その三部作の内容に触れなくても、作中ずっと屍臭が染みていて、まともに息ができないほど空気が悪い場面が多い。同じ作者でもジュブナイル作品になると、「アヴィリスの妖杯」が清潔に感じるという今度は面白い感想になった。ジュブナイルって健全なんだ、とあらためて新鮮さ。
ラミアというのは、文字通り古典古代でいうと、あまり恐ろしい妖女ではなくてむしろ子供を怖がらせるお化け。わたしはルキアノスの小噺集の中に出てくるような言葉としてその印象だが、上のは、現代の耽美的なラミア。青年と人外の愛に耽るが、そのまやかしの魅力を逃れようもなくじきに彼は食い殺される。