かとかの記憶

富野由悠季 周回 / 289

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富野小説の文中の「カスバ」の用例について、建築物が無秩序に積み上がった混沌とした町並みのことを一般名詞としてカスバと呼んでいるのは、現代(2020年代)でも読者にはその意味はわかるものの現用語としていまだ使われているのか知らない。

1980-90年代頃の同時代に用いているのはたぶん富野由悠季だけではないが、前回はその例をすぐに挙げられなかった。こんなのがある。

 レモンは自分の方向感覚には自信があった。一度みたランドマークは忘れなかったし、どんなに複雑な三次元的カスバの中でもつねに自身の位置を確実につかんでいることができた。方向音痴に都市ゲリラは務まらないのだ。
(『武装音楽祭』野阿梓、1984)

野阿梓が使っているようなこの感じだと、文芸の中ではもう十年は遡りそうだ。今それだけ。

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