かとかの記憶

富野由悠季 周回 / 98

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katka_yg 2025/04/05 (土) 11:52:37 修正 >> 97

このあと『アベニールをさがして』では、読むのはこれからだが、ここではベケットの古典的な価値とか、不条理劇の面白さの説明などはまた、全くないと思う。読者は知ってる前提だ。そこは日向オノレ君がアケモちゃんの気を引きたい一心で懸命に喋っているところ。たぶんこんな感じ、

「実のところ今だってさ、正確にいえば僕たちが必要なんじゃない。テンダーギアは優しいマシンだし、他の人間にだってこの任務はやってのけるに違いないよ。僕たちより上手くできるかどうかは、別としてさ。インスパイアー・エンジンや、アラフマーンのスペシャリストがいるわけじゃないんだ。ベストン・クーリガの呼びかけは日本人、むしろ人類全体に向けられたものだった。ただし、今現在この場では、この場でアラフマーンにもっとも近い位置にいるのは僕たちだ。これは僕らが好むと好まざるとにかかわらない。この立場は、手おくれにならないうちに利用すべきだ。運悪く人類に生まれついたからには、せめて一度ぐらいはりっぱにこの生物を代表すべきだ。そうだろ?」
「ごめん、聞いてなかった」
「確かにね。事の賛否を互いに一々検討して考えぬくことも、人間の条件だ。笛吹中尉はサージェイのダイサンカのビジターであるからには、わが身に少しの反省もなく任務に邁進できる。フール・ケアさんはすぐにアウトサイダーを言って、ただちに逃げ出す。でも、問題はそこにはない。「僕らが」「現在」「ここで」何をなすべきか、考えねばならないのは、それだ。だがさいわいなことに、僕らはそれを知っている。そうだ、この広大な混沌の中で明らかなことはただ一つ、すなわち、僕らはアベニールをさがしているということだ」
「そりゃそうね」

みたいに、めちゃくちゃ語りたくなるのだがだからといってオノレとアケモちゃんが手に手をとって宇宙に飛び出していくかというと、発進しない。オノレは、ネットゲームでやっているシェイクスピア時代の英語が好きのように書いてあったけど、シェイクスピアを熱読しているかは、わからない。高校生に演劇史や文学史が語れるわけはないだろ。わたしは面白いので、やろうかな。今度は英語を直にと、折角するなら福田恆存作品の延長でつづきだ。

Toward Star

そういえば先日、『アベニール』の想像上のサントラとしてはどうかで、Vガンダム続きイメージで千住明でもどうか、同時期の『沈黙の艦隊』なんか聴くと案外いけそう、という話をしていた。

そのときに大谷幸といっていたのは『アウトロースター』のことで、アウトロースターのOSTも昨日少し聴き直してみたけど、わたしはどうも……今そういう気分でもなかった。伊東岳彦のトワードスター世界もったいなすぎるので、わたしも今でも多少の未練はある。
その繋がりだとゴドーを待ちながらというと、『宇宙英雄物語』の連想の方があるけど、挿絵だけをネタに富野小説であえて語ることはとくにない。インティパ世界ってエーテル宇宙じゃん、でもバイストン・ウェルとの関連や連続を語った方がこちらは強いし。

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