盗心
『辺境の惑星』。この作中の心話能力は前作ロカノンの世界から続く要素だとは、作中に書いてあるがわたしは少し時間が空くとすでにもう前作の内容を忘れた。
SF小説……遠未来のスペオペ中にとくにそれが主題的な扱いや説明なくテレパシーが登場することはよくある。ヴァンスでもディックでもスミスでも……まあ思い出すかぎり誰でもだから、古典的要素としてそれはいい。
テレパシー能力の使い方、断りなく他人の思考を覗き見る=聴心したり、他人の意志に干渉し、支配することについては、作家や、作品によって扱う態度に差がある。当然のこととして、カリスマ、ヒプノティズム、フェミニズムの話題とは接しやすい。
- 法律で禁じられている
- できない。一部の優れたテレパスにとっても難しい
- できるが、他人の心というものはテレパスにとって不快なので余程のことでなければ通常やらない
最近読んでいた中では、ヴァズカーなどは何度かやってみたが他人の脳内は反吐が出るほどカオスで辟易するタイプ。滅多にやらないのは自分が疲れるからで、べつに相手の自由を尊重してではない。神林長平のサイファの菊月虹なんかの態度にも似ている。
PAマキリップのサイベルや、たぶんレーデルルも、サイキックでプライバシーを破られると問答無用で激怒する。女性だからではなく個人の尊厳を侵害されたからだ、と、少なくとも作者は言いたいところだろう。マキリップのは先輩作家の、ちょうどル・グインあたりの影響という印象がする。
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『辺境の惑星』読了。つぎ『影との戦い』。アースシーのようなシリーズにはこだわらない、執筆年順にいくが、手元に全部あるとはかぎらないし、今は邦訳を読んでいる。
『幻影の都市』をさっそく忘れていた。そちら用意しておく。