受領の章
受領――やはり、これといって確かに説明できるわけではないのだが。
この序章中で誰かが何かを受け取ったということはないが、もし仮にポテーとメハビアーを、クワウンゾゥが「受領」したとしてもそのことにどれほどの意味もないので、それは置いておこう。
前巻の序章部分にあたる「欠の章 うたた星々」は、この『王の心』シリーズは全巻の各章を通し番号として「第何の物語」とカウントされる、そのカウント外だから「欠」としている。全巻があたかも「物語集」かのように編成されている意味は読後に最終的にある。同じように構成上の意味だと、受領というのは「前巻(前章)の話題を受けて再開する」――承前――という意味か、と解するのがここは良さそうに思う。
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うたた星々の「うたた」がどういう意味かは、これは、語義を講釈するほどの何でもなく「うたた寝」というときの雰囲気で、まどろみ夢見る星たち。うたた星々――と本文中でグラン王が口走るところがあるので、無為に夢みるもの、命あるものを無関心にただ眺めている意味だとわかる。星や銀河はそうではない、まどろむうちにも冷酷ではないんだという話だけど。