「15 リンレイ・メラディの城」(旧)
「10 リンレイ・メラディの城」(新)
城将というか砦の主マラ・ブランの、負傷した瞬間に哀れったらしく豹変する様子は同じように書かれているが、完全版では「人間でない異様な気性を感じた」と書き込まれる。ガロウ・ランということだろう……。
もうひとつ、二度目の騙し討ちで殴りかかったマラの右腕を斬り離したときに、迫水の直心影流の瞬発的な発動についてはすでに書かれていたが、完全版では、
迫水の瞬発力と筋力は、間合いがない距離でそれができるまでになっていた。
あえて言ってしまえば居合みたいな技のようか。この上達ぶりはリーンの靴のせいだろうかとは書かれていたが。
――本文に書かれてもいないのに想像で「居合」とか書きたくない。実戦剣術の話をしているし。間合いなしで、と加筆されている、のこと。
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リンレイ・メラディとの出会いはおよそ考えられるかぎりで最悪の場面での初対面。「対面」というのかな? そこでそういうことを言うのもなんともだ。わたしは、そんなことで人に嫌われてもいいが。
さばけて言うと、人に趣味の有無はあろうけど、小説の読者にとっては、嫌悪感だけで読んでいるとはかぎらない。女性の読者には普通にはしんどいと思うが、女性のFT作家でももっと酷い場を書く人はいるし……。
細かい差異を書くと、短剣の処理が異なる。ひどい意味で彼女との「絆」の始まりなので、旧版にはその生々しさがよりある。マラが完全版ではやや饒舌で、「コモン女」とくり返すのを聞いてもはっきりとこれはガロウ・ラン扱い。旧版も別の意味でガロウ・ランを想起はしているので、その違いをいうと曖昧なところだが、これがくたばるまでにより見苦しいのでそれで幾分気が紛れるのでもある。