完全版では23章のここにあるハッサバとの対話。そのうち、
「闘いますか?」
「闘うのではないな。真なる聖戦士であるなら、凡俗たるわたしがどのていど歯向かえるか、それは試してみたい」
このゴゾの自意識というか、聖戦士観も併せて面白い。前回登場時には、歴史的にガダバの民だけが北辺の地に押し込められて南進を阻まれてきたことを「フェラリオ達の偏見」と断じ、リーンの翼とはその偏見の延長上の顕れとみなす、と激烈な怒り、正義感さえ表明していた。そんなものには立ち向かってみせる、との。
「現に、歴史は、リーンの英雄が荷担した国家が永遠に続かなければならんとは教えてはいない。歴史は、リーンの翼の力を永遠に持続させはしなかった。これは、バイストン・ウェルの世界が、公平に機会を与えてくれているという証拠だ……」(旧29)
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