仲裁に入る船長のグロンが迫水の喧嘩のしように「狂暴なもの」を注意する。これの新旧は一見してほぼ同文に見えるが、上の、章冒頭の「死に損ない」のくだりがあるとないとでは読者の受け取るニュアンスが違うようだ。
旧版を読むかぎりでは迫水の狂暴さは、ギルト感情の反映だと読むだろう。完全版ではそれがない代わり、迫水の元の性癖と説明して、一生自制しろと言われる。その癇癖を性格にしてはいけない、とも。
この違いはごく微妙でわかりにくいが、「性癖」とか「性格にする」とかいう表現は富野作品の後期作に現れる、規範などの関心に近いもので、多分大事なところだと思うな。
というより、富野作品以前にわたしのもと興味分野だ。
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