かとかの記憶

リー作品の受容と連想 / 20

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katka_yg 2025/10/06 (月) 22:57:25 修正 >> 19

リーの世界創作(コスモロジー)

視覚映像文化、日本アニメ史における世界観主義のことについては氷川竜介氏の近著のどれかを読めば説いてある。ここでは小説、日本ではなく海外FTを含めていうとき、ル・グウィンが自分のファンタジー観・文学観について語った『夜の言葉』からコスモロジーという言葉をそれに当てている。

1940年代生まれくらいの同世代ではたとえば、マキリップなどは先輩ル・グウィンのようなお手本にはよく従っていると思う。タニス・リーについては、リーは「文庫本の巻頭に地図がついてないFT作家」という特徴がある。

『昔々、あるところに……』というほどの漠然とした時空間だけを設定しておいて、あとは話の赴くまま、キャラクターの行くところに折々に町や、城や、森や平原がアドリブで生えてくるような書かれ方で、物語のフォーカスが当たっていないその他全域には、誰も見ていなくても世界が広がっているような気はしない。

地上があり、天の星界があり、地下にはドルーヒム・ヴァナーシュタがある以外、地上の国々の歴史や地理関係はない。物語が語られ、アズュラーンが行くところに世界ができていく。

リーの作品でも先日読んでいたThe Storm Lord (Vis 1)などは正直、地図が欲しい。めちゃくちゃ地名が多い。

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