かとかの記憶

泣いたってなんにもならない / 1

5 コメント
views
1

普通の王女だったら、ひと目惚れしたジャスレスのような王子と結婚することを思い切るには、涙のひとつやふたつこぼしそうなものだが、彼女はちがっていた。ジェーデリは、涙なぞ、ジャスレスのためにも自分の王国のためにも、自分のためにもならないのを知っていたので、泣かなかった。その代わりに魔術書と魔法薬を取り出して、夕食の時間までそれらにかかりきりになった。
(『ドラゴン探索号の冒険』)

通報 ...