狡猾なミルテ
アケローンで起こった最後の戦いからも年月が経った頃、エウテルペの王族で「二人の悲歌」と称されたミルテについて「ミルテは狡猾」との噂が立った。エウテルペの戦いでのトロスとミルテの兄妹の戦いぶりは恐ろしくも美しかったと語り伝えられていたが、「妹のミルテはとくに狡猾だった」とする説が広まり、やがてアケローンで一般的に信じられるようになった。
ある日、丘で仕事をしているミサイリストのところに、ふもとから女の子が一人登ってくるのが見えた。側にくると端整な顔立ちの少女だった、建造中のミサイルにしきりに興味深げに眺め入っているので、ミサイリストが親しく話しかけると、少女は急に表情を硬くして「ミサイルはきらい」と答え、猜疑心のこもる瞳で相手をにらんだ。ミサイリストには、彼女がミルテだとわかったので、ミルテの嫌いなミサイルの解説を色々としてやり、発射実験も見学させてやった。
エウテルペ人の少女は笑顔ひとつ見せないで最後まで見物したあと、うつむいて「ミサイルは人を駄目にするのよ」という持論を呟いた。そして、彼に拒絶の言い渡しをくれて帰っていった。ミルテと狡猾な会話をしたミサイリストは、ミルテのくれた拒絶の言い渡しをずっと後まで大事に取っておいた。
ミルテの言うことはもっともだが、ミルテは狡猾だともいわれていた。アケローンを旅する人は、野原や花畑で時どきミルテに会うことがあった。親切にすると、ミルテは花の魔法で疲れを癒してくれ、野生の凶悪な生物を追い払ってくれる。「何か用」「何、じろじろ見てるの」ときかれたとき、「100円を渡す」「用はない」と冷たくあしらうと、ミルテは少し傷ついた顔をして去っていくという。ミルテを狡猾とする説は、竹原ハルとミルテの伝説とが混同した結果だと後に分かり、その噂はアケローンではじきに廃れた。
AIにはミルテとハルの区別もつかない。人間のプレイヤーだったらありえない混同なので流石AIアピールだなのようなことをいってた。