15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前週末比41ドル安の4万8416ドルで取引を終えた。機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も下げた。人工知能(AI)への過剰投資不安など相場の過熱感が重荷になり、大型のハイテク銘柄には売りが広がった。
この日は半導体の米ブロードコムは6%安、米IT大手のオラクルも3%安となった。巨大テック7社「マグニフィセント7(M7)」も下げが目立った。ただ、過去1カ月でみるとM7の株価は明暗が分かれる。中でもテスラ(16%高)に次ぐ上昇率となっているアルファベット(8%高)に注目が集まっている。
その理由の一つは起業家のイーロン・マスク氏が率いる米宇宙開発のスペースXとみられる。今月に入り、米メディアではスペースXの新規株式公開(IPO)観測が相次いで報じられている。アルファベットは2015年には、スペースXに出資していたとみられている。
米調査会社ピッチブックによると15年のスペースXの企業価値は100億ドル(約1兆5000億円)ほど。米メディアの報道では直近の同社の評価額は約8000億ドルとされており、単純計算では約80倍になる。市場ではすでにアルファベットに「埋蔵金」ともいえる巨額の含み益をもたらしているとの見方がある。
ブルームバーグ通信の報道によると、市場環境により先延ばしする可能性があるものの、スペースXは早ければ26年のIPOを検討している。火星探査ロケット「スターシップ」や宇宙空間のデータセンター開発などの資金調達が主な目的とみられる。
スペースXの上場時の調達額は300億ドルを上回りそうだという。これまで過去最高だったサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコによる上場(約290億ドル)を上回る公算が大きい。
アルファベットの株価はスペースXのIPO報道の直後に上昇したものの、その後は利益確定の売りに押される場面もあった。ただ、昨年末比でみれば、約6割高い水準にある。
米調査会社CFRAのサム・ストーバル氏は「グーグルがスペースXのIPOを魅力的な出口ととらえて売却を選ぶ場合は、AIや関連分野への投資資金の拡大につながると市場は受け止める」と話す。
米投資銀行パイパー・サンドラーは11日にアルファベットの目標株価を330ドルから365ドルに引き上げた。バリュエーション(投資尺度)は高い水準にあると指摘したが、広告サービスの成長を高評価して買い推奨を維持した。米投資銀TDカウエンも直近でアルファベットの目標株価を335ドルから350ドルに引き上げた。
市場全体でAIへの過剰投資への懸念がくすぶるなかでも、ハイテクの個別銘柄に目を向けると先行きへの楽観ムードは依然強いことがうかがえる。QUICK・ファクトセットによると15日時点で回答している70人超のアナリストの8割がアルファベット株を買い推奨にしている。スペースXのIPOが実現すれば、株高のさらなる燃料となる可能性がある。