それは聴き慣れた音だった。ああ、また仲間が死ぬのか。どこか冷静な気持ちで身を潜めていた俺は、果敢にもグレートバリアを発動させ……それでも間に合わなかったわかばだったインクを横目で眺めていた。
___あと2発。
グレートバリア周辺には敵のスシコラが、せっせと忌々しい青インクを塗りたくっていた。いけるか……?いや、やめておこう。奴らは接敵したや否やスプラッシュボムを投げつけてくる習性がある。即爆が危険だ。
そんな事を考えているうちに頭上を理不尽なカタマリが掠めて行った。ああ……だが仕方ないんだろう。既にバレていたんだ。ハイドラントで迎撃するしかなかったんだろう。彼がいた場所には、辛うじてブキの残骸が転がるのみだった。
___あと1発。
明らかな人数不利だ。どうにかして時間を稼がなければ。そんな事わかりきっている!いや、焦るな。音を最小限に、広がる青色から離れなくては。ここで迎撃するか?思いっきり突っ切るか?駄目だ。時間さえ稼げばまだ援軍が到着する。持ち堪えろ……。クソッ!早く撃ちやがれっっ!冷静になれ、しっかりしろ。しっかりしろ。しっかりしろ。
……どうやら敵は決め撃ちに賭けるようだ。おいおいオイッ……運だけ野郎がッッ!!いや、掠めただけで良かったと言うべきだろう。援軍はもうすぐそこだ。あと3、4秒で前線は安定するだろう。さぁ打開を始めよう。
___ガチャッ…
ああ、畜生。分かってた、分かってたつもりだった。編成は確認しておいたんだ。俺はどこで間違えたんだろうか。ただ普通にバイトして、時々ライブにでも行って……そんな日々さえあれば良かったのに。ここに立った時点で思い上がりだったんだろう。
隣で静かに泣き笑う彼女……たまたま俺を誘ったイカガールと共に、あるはずのない4発目の爆風に飲み込まれた。
無慈悲なウルショ2枚編成をここまでエモく書けるのほんとすき