取っ散らかっていたので補足
まず、装甲は想定する対象との組合せで傾斜の効果が変わってくる
A. APFSDS vs セラミックス:先述の理由から傾けない方が良い
B. APFSDS vs 防弾鋼板:抜かれること前提なら、傾斜装甲にすると抜けた後の弾体の姿勢を崩せる。抜かれないことが目的なら垂直が良い
C. 従来徹甲弾 vs 防弾鋼板:傾斜させると見かけの厚さ以上の防御力を発揮する
D. APFSDS vs NERA/ERA:傾けないと効果がない
E. ただのカバー vs 草木:傾けた方が立木や草の排除には適してると思う。あとデザイン性
この他、傾斜させる理由には次のものがある
F. 製造を容易にする:一般に薄い方が製造難易度は低い。よって見かけの厚さが同じなら傾斜した薄板の方が製造難易度は低い。しかし現代だと、防弾鋼板は、製造技術の向上・生産数が少なく生産性の要求が弱いことから利点としては弱い。セラミックスは複雑な形状にするのが難しいのでかえって製造難易度が上がる。
G. 天板の面積を減らせる:確かに内部容積一定なら傾斜させると天板面積が減らせる。でも、有効に使える容積一定の条件下では差は縮むし、最大幅は増大する。ということでどの時代でもこの効果は求めてなかったんじゃないかなぁ?(フワフワした表現)特に側面装甲は、あまり傾けると最大幅が広がって鉄道輸送上の制限に引っかかってしまうし立木・岩等にも引っかかりやすくなる。現代だと,前面装甲がずば抜けて厚いので多少天板や側面装甲を減らしてもほとんど誤差だと思われる。ただエイブラムスの砲塔正面は、NERAの都合もあるかもしれないが多少側面装甲の削減を意識しているかもしれない?
H. 正面装甲の高さを減らせる:K2とかで顕著だが、砲塔天板を大傾斜の傾斜装甲とすることで正面装甲の高さを減らす効果を狙ったケースも。重量低減効果は割とあると思われる。但し、K2なら突出した砲の部分は弱点になるし、多少上からから撃たれたら簡単に抜かれそうでちょっと不安ではある(個人の感想)。実際、90式プロトタイプでは類似の配置になっていたが、最終的な配置はご存じの通り。多分理想的な状況以外では不利な点が多いんじゃないかなぁ?
ということで、
・「現代において傾斜装甲は無意味」というのは誤り。上記Bの抜かれる事前提のケースでは斜めにした方が良い。また、一般的ではないがHも現代の傾斜装甲と言えるかもしれない
・一方で、従来の利点の多くは技術・材料の変化等で無くなった/欠点が目立つようになったのも事実