かつて、幼い自分は、一つの動画に心を奪われた。
その機体は空を裂き、力強く、華麗に舞っていた。あまりに美しく、あまりに速く、あまりに強かった。
「自分も、いつか──」
そうして憧れは執念となり、幾夜も重ねた開発の末、ようやく辿り着いた。
あの銀翼へ。
だが、現実は違った。
空に舞い上がれば撃ち落とされ、返ってくるのはRP52という惨めな数字。
あれほど憧れたはずの機体は、自分の手に余る化け物だった。
「もう二度と乗るものか」
そう誓った。3000より上には行かない。あそこには魔物が住んでいる。
月日は流れ、自分の”零”は見違えるように育った。
旋回性能は理想そのもの。3000以下なら敵はいない。まさに空の王者だった。
──その日までは。
高空に銀の閃光。
優美に、静かに、だが確実に降りてくるそれは、まるで天から遣わされた神の使いだった。
一撃。
視界が赤く染まり、俺の”零”は炎に包まれて墜ちていった。
おかしい。
低空なら負けるはずがない。
俺の”零”が、あの連合機に──?
リザルトを見て、確信した。
「マシンじゃない……乗っていたのは”あいつ”だ」
あの時の悔しさを忘れない。
何度も動画を見返し、何度も負けて、何度でも飛んだ。
もう一度、あの魔物に挑むために。
ついにその瞬間は来た。
かつての相棒”零”が地を這うように連合機を狩っていく。
そして──奴が現れた。
狙いを定め、照準に収め、引き金を引く。
「ヒット」
惜しかった。即座に上昇へ。だが、あの時のようには登らない。
息を切らした銀翼が落ちてくる。追い縋る”零”。
その姿に違和感が走った。
──格納庫で、すべてがわかった。
「あれ、C型やん」
そうだ、機体が違う。あれは上位互換。スペックからして別物だった。
俺の”零”は悪くなかった。けれど──マシンの壁は、想像以上に厚かった。
それでも、あの瞬間の悔しさ、熱さ、心を打たれる感覚。
あれがあったから、俺は今も飛んでいる。
ロシア機のミサイルが迫ってくる。
避けられないのはわかっている。だが──
あの経験があるから、俺はまた立ち上がれる。
これからこの惑星に降り立つ君へ。
このゲームに、バランスなど存在しない。
理不尽も、差も、壁もある。
だが、それを超えた先に、本当の空がある。
そして君もきっと、あの銀翼のように──誰かの心を奪う存在になる。
どした?疲れてるん?
たどし?てれつかるん?
キモいから消してくれ