カオスドラマX

Gray Traveller / 724

724
わったん 2026/08/23 (日) 19:53:46 >> 721

「タイトルは『いつもの日』」
「彼が願っていたことの断片です」
「必ず来るであろう未来」
「その未来で、『いつも』が来る事を望み」
「其処に辿り着く為の芸術」

「……」

「貴方は、この絵画を見て」
「どう感じましたか」

「……」
「……」
「……」

「形のない記憶や思い出から成せるものが在る事を、私は知り得たのです」
「彼が頑なに言葉にすることのなかった『愛情』
「都市を生きる為に、ただこれだけがあれば」
「彼は彼自身の芸術だけで、都市に染まらず歩めることを示しました」
「その上で、私にその芸術を突き付けてきました」
「私ごと、彼の芸術に沿って背負っていくとばかりに」
「……本当に、ただアトリという少女のために」
「彼は全て『いい思い出話』にしようとしていた」
「この利己的な芸術は、きっと貴方の根底にもある」
「そう願っています」

「……」

「インスピレーションは得られましたか」

「……俺は」
「この子を、知らない」
「『覚えてない』んじゃないんだ」
「知らないんだ……」

「えぇ、ユンフという絵具が無ければ、彼女の存在は証明されません」

「……でも……」
「そうか……」
「この子の為に」
「都市を駆け抜けていたんだな」
「ユンフという人は」

「……」
「観点に変異が見受けられる時」
「それは自身を構成する核そのものが幾重にも皮を破る時です」

「記憶を喪っても尚残る感情」
「アイツはそうやって、此処に『思い出』を遺した」
「その軌跡は形を持たないが」
「確かにこうして残っている」
「……これが……ユンフの芸術なのか……」

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