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双眸 ~紺碧の哀/紅蓮の愛~ アキラ√ 

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『双眸 ~紺碧の哀/紅蓮の愛~』のカオスドラマX併用スレッドです
こちらのスレッドは「アキラ」ルートになります

黒い羊
作成: 2026/02/01 (日) 18:08:38
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………コツ…

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呆然と佇むアキラたちへ向けて、ゆっくりとした足取りで歩み寄っていく者がいる―――

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「…はじめまして。こんにちは。そして、ようこそ。君たちがここに来ることは、すべて予測済みだった。」

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白髪の青年が白衣を靡かせながら、彼女たちへ語りかける―――――――

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白髪の青年 → ブラン000「 僕の名は『 ブラン000 』―――― 「博士」が造り出した、"最初で最後のアンドロイド"さ  」

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双眸 ~紺碧の哀/紅蓮の愛~

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「 憧憬の瞳 」

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BGM♪:Ultra Space - Pokemon Sun & Moon Music Extended 
https://www.youtube.com/watch?v=lpZkThttFl4

サトミ「………??(明らかに同行しているメンバーのものではない誰かの声が聞こえ、恐る恐る目を開く)……!研究員の人……なのかな……?(白衣を纏うブラン000の姿を見て小首をかしげる)」

サユリ「いえ……あのような若い研究員は…私の記憶にはないわ……それに…彼、今……『アンドロイド』と……」

エルナ「………(依然警戒心を解くことはなく、いつでも引き金を引けるように拳銃を静かに構えている)」

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ミオリ「……博士、って……… もしかして、キー君とアッちゃんの………? ねぇパパ、何か知らない?(清空博士にひそひそと問いかける)」

清空博士「いや………すまないが、私も初めて知った……… それに、最初で最後だと?どういう事だ、あいつは何体ものアンドロイドの開発に携わっていたはずだが…… ミーラや、うちのブレイスだって……。(戸惑いを隠せない様子で答える)」

アキラ「………(突然の情報量に頭が追い付かない気持ちを抑えながらも、ブラン000の方に歩みを進め)………さっきは、あなたが助けてくれたんだよね…… ありがとう。(頭を下げて)………それで……… えっと、何処から聞くのが良いかな………?ごめんなさい、急なことで頭が混乱してて……… その……… ブランさん?は……… ここで何を………?」

ミオリ&清空博士「「(距離詰めるの早っ………(汗))」」

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名前なし 2026/02/01 (日) 21:48:24 修正

ブラン000「やあ、君は…「アキラ」ちゃんだね。"待っていたよ"。(爽やかな表情の中に含みを利かせた微笑みを浮かべる)ここだと雰囲気に欠ける。場所を変えよう。」

ブラン000「案内するよ――― 「真の社長室」へ」

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― トゥルー・ラボ ―

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そこは、殺伐で鬱屈としたどす黒い研究所跡地の最深部とは思えぬほどに白く澄んだ空間が広がっていた。
白で統一された殺風景の一室。地下最深部でありながら、
晴天の太陽の日差しが差し込んでいるかのような明るく爽やかな光が瞬いている。
まるで別次元の世界に踏み込んだかのような不可思議な感覚を、客人たちの誰もが体感する――――

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ブラン000「 ようこそ、「真の社長室」……『トゥルー・ラボ』へ 」

ブラン000「初めての客人なんだ。それなりに盛大なおもてなしで歓迎しよう…―――パチンッ☆」

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白髪の青年が指を鳴らすと、何一つ存在しない殺風景な空間の真ん中に大きなデスクと人数武運の椅子が次々と出現する。
デスク上にはいつ淹れられたかもわからないが、白い湯気が立つ紅茶やコーヒーの入ったカップが丁寧に並べられていた。

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サトミ「わ、ぁぁ~……!すごい……!さっきまでの暗い通路とは全然雰囲気が違う……わっ!?(突如出現したデスクや飲み物に驚嘆する)」

サユリ「ええ……かくいう私も、ここに来たのは初めてよ…。ここは本来、社長が秘密裏に設立したという社長室にして…あの方のプライベートルームであり、そして…社員にも共有していない秘密の研究施設だと……あくまで噂でしかなかったけれど、まさか本当に実在していたなんて……」

エルナ「……一つ尋ねたいんだけどさ、まるで私たちがここへ来ることを待っていたような口ぶりだったね?どういうことか説明してくれるかな」

ブラン000「あくまで予測の範疇に過ぎないよ。緻密に編み出した計算が導き出した仮定…これまで起きた君たちの身に起きたすべての事件や事例を把握し…そこでよぎった謎を解決するために、いつかここに来るだろうと読んでいただけさ。そうだろう…――――『 吉岡明 』ちゃん?(眼帯をした青神の少女に対し、穏やかながらもどこか固執したような眼差しを向ける)」

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アキラ「……… Σえっ?(ついついラボに見惚れてしまったところ、ブラン000の言葉に引き戻される形で反応し)そ、それは、まぁ……。」

ミオリ「はぁー………(ラボ内を一通り見渡した後、ブラン000に目を向けて)………なんていうか、いろいろ気になることとか、聞きたいことがありすぎてどこから切り出せばいいか分かんないんだけどさ……… とりあえず、さっきは助けてくれてありがとね。ぶっちゃけ、本当に危なかったからさ……。」

清空博士「私からも礼を言わせてくれ…… 娘と、仲間たちの窮地を救ってくれたこと、心より感謝する。(頭を下げて一礼した後)それで、なんだが…… ブラン000、といったね。先ほど君が言った通り、私達はある事態を解決するために、ここに眠ると言われる君の開発者…… ヴァナダ博士の残した『究極の遺産』を求めて遥々来たわけなのだが―――― 率直に聞く、もしかして君がそうなのかい?(真剣な眼差しをブラン000に向けながら)」

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ブラン000「フフッ…その質問に答えるならば、当たらずとも遠からず…というべきかな。そうだね…まずは簡単に、僕のことを紹介しておこう。」

ブラン000「改めて、僕の名は『ブラン000』。「ヴァナダ」博士に最初に創り出されたアンドロイド個体…正式名称は「VAD-000」。しかし僕は、最初に生み出されこそはしたが起動されることのなかった唯一の個体だ。」

ブラン000「過去に生み出されたアンドロイドたち… MDJ-564「ヴォルキル」、VG-780「ミーラ」、CC-389「マミー」、BCM-456「ヴァンプス」、GPK-008「ミュール」…その他にも、製造された数多くの個体… 過去に生み出され、無事起動を果たしたアンドロイドたちに蓄積されたデータのすべてを取り入れることで、最終にして最高の傑作個体として完全な起動を果たす。」

ブラン000「それが僕だ。僕の存在は、すべてのアンドロイドたちの誕生と活動によって実現した。そして…各個体に様々な機能があるように…僕にも唯一無二の機能が備わっている。」

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ブラン000「それが "世界システム"遺伝子構造を組み替える機能(ちから)だ。すべての生き物はDNAという遺伝子によって構成されている。それは僕たちアンドロイドも例外ではない。より人間的な挙動を、感情を、思考を学び、養うために…人間や動物たちと同じ遺伝子が組み込まれている。わずかではあるが血も通っている。」

ブラン000「僕に与えられた機能(ちから)は…この手で触れた生命の遺伝子構造を組み替えることができる。体内の遺伝子の成長速度を操作することで…他者の回復や強化を図ることは勿論、遺伝子を破壊することでその生命活動を停止させることだって可能なんだ。」

サユリ「そんなことが……!……なるほど……だからあの時…不死の存在であるはずのアマルガムが突然消滅したのも…あの怪物の遺伝子構造の仕組みを瞬時に組み替え、不死にも近い生命力を一瞬で相殺した…ということのね……」

ブラン000「ええ、その通り。」

エルナ「ふぅーん……なんだかすごい能力を持っているみたいだけど…妙だねぇ…?あなたがここの現在の管理者だとして、なぜあんな化け物を今日まで野放しにしていたわけ?そのお得意の能力をもってすればとっくに始末できていたものの…」

ブラン000「確かに、アマルガムの処理は造作もないことだ。けどそれは僕の…いや、この言い方では語弊がある。「博士」の意思に反する行為だからだ。」

サトミ「どういうこと…ですか……?(話を聞きながら、促された紅茶に手を伸ばして温かいうちに口にする)」

ブラン000「僕の使命は、博士の意思を引き継ぐこと。もともと僕が最後に起動されるのは、博士自身がその死後を考えたが故だ。自分が消えても…カンパニーを存続させ、研究を続行するために。いわば僕は、博士の分身でもあり、代行者ともいえる。」

ブラン000「山本さん、あなたは博士から直接託されたはずだ。「来る日」がやってくるその日まで、決してこの地下へのゲートを開くなと…。博士はすでに予見していたのです。
誰かが…そう…それもカンパニーや博士にとって最も信頼における誰かが、この会社の闇と向き合うことになるのを。たとえそれが「家族」であったとしても。」

ブラン000「だからこそ、博士は真摯に受け止めてほしかったのです。自分の非を…科学の罪を…現実は決して綺麗ごとでは済まないということを。博士は…あなたたちに気づいてほしかった。ゆえに、アマルガムという負の遺産をあえて残すことを、僕が選択した。それが博士の意に沿うことだと判断してね。」

ブラン000「そして君たちは…その闇を、越えられない壁に立ち向かおうとした。たとえ相手が不死身の存在だとしても、それでも振り返らず、突き進み続けることを選択した。その意思をくみ取り…初めて僕が動き出したんだ。今の君たちになら、すべてを話しても良いとね。」

ブラン000「……君たちがここに来た理由は知っている。地上で起きていることも、すべてこのラボで監視していた。もっとも…博士の死後、僕はここでずっと君たち吉岡家の動向をずっと監視していたのだけど。それが博士が僕に課したプログラムの一つでもあったからね。」

ブラン000「……お兄さんを…「キルビス」くんを救いに来たのだろう。そのための手段も、計画(プラン)も…既にこちらで用意している。君たちの意思一つですぐにでも救出しに行かせることができる。」

ブラン000「……………………(しかし青年は白衣に手を入れたまま無言する。躊躇う素振りではないが、潔く次の言の葉を淡々と紡ぐわけでもない、形容しがたい表情だけを浮かべて―――)」

ブラン000「………だけどその前に……もう一つだけ、確かめておかなければならないことがある。今度は「アキラ」ちゃん……君自身に対してだ。

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アキラ「!そ、それじゃぁ………  えっ?(一筋の希望が見えた事を喜ぶ間もなく、自身へ向けられた発言を聞いて)……私に?そ、それって一体………。」

ミオリ「ちょっと、まだ何かあるの?本当に一刻を争う事態なのよ、出来ればすぐにあなたの力を貸して欲しいんだけど……!(焦る思いを隠しきれない様子で)」

清空博士「落ち着きなさい…… 気持ちはわかるが、ここは聞くしかないだろう。(ミオリに)………失礼、続けてくれ。」

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ブラン000「……確かに…今は悠長にお茶を交えながら話をしている場合ではないかもしれない。
それはアンドロイドであれば非効率的だと判断するものだろう。だけど…僕は違う。
なぜなら僕は博士の遺志を継いだ代行者。あの方が望んだことを最優先に成し遂げる義務がある。
そしてそれは必然的に君たち兄妹のためにもなる。」

ブラン000「…アキラちゃん、きみは…君たちの『ご家族』について知っているだろうか。
君たち兄妹は幼き頃、ヴァナダ博士の養子として引き取られた。
知こそはつながっていないが、博士は君たちのことを家族として心から受け入れ君たちの成長をその傍で見続けていた。
だがある日…義兄弟の幸助さんからその過去の片鱗を聞いたはずだ。君たちの…本当のご家族の話を。」

ブラン000「……君たち兄妹が知った真相はあくまでも断片的なものだ。まだすべてを知り得たわけじゃない。
なぜ君たち兄妹が幼き頃から実の両親と決別することになったのか…なぜヴァナダ博士と巡り合うことになったのか…
"そのすべては繋がるようにできていた"ということを。」

ブラン000「今だからこそ語るべきだ。それが博士の望んだことであるが故に。君たち兄妹のこと…ご家族のこと…博士のこと… すべての真相を知り得ることで、きっと君は今よりもずっと『家族』という存在を愛おしく思うことになる。」

ブラン000「すこし長くなるかもしれないけれど、聞いてくれるかい?君たちの過去を…そして現在(いま)に繋がるまでの隠された真実を。

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アキラ「!! ………私の………本当の家族………?」

ミオリ「……そういえば、私も詳しくは聞いたことなかったかも……… 何か、触れて良いのか良くないのか、分かんないとこだったからさ……… パパは、知ってる?」

清空博士「………いいや、私も詳しいことはよく知らない…… 一度あいつに聞いてみたことはあったが、「少々訳ありだから詮索は控えて欲しい」と言われてな…… 後になって「忍者の家計」なんて言われた時はたまげたものだったが………(複雑な表情を浮かべ)本当の所は、そんな単純な話では無いようだな……… ここまでの仕掛けをしてまで隠していたことだ、それなりの覚悟を持って聞く必要があるだろう。」

ミオリ「………だよ、ね………(心配そうにアキラに歩みより)……アッちゃん、大丈夫?」

アキラ「………(不安そうに俯いて)………正直、結構不安かな……… でも………(顔を上げ、ブラン000の目をまっすぐ見て)それ以上に、知りたい……… 本当の両親がどんな人だったか、どうして別れなきゃいけなかったのか、今のお父さんとどんな関係だったのか……… 幸助兄さんと会ったとき、あれ以上は怖くて聞けなかったけど……… 今は違うから……… どんな真実だったとしても、受け止めて見せる……… だから、全部聞かせて!そして、一緒に兄さんを助けて!

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ブラン000「………―――――――――――」

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なんて揺るぎのない瞳(め)だ。
これから知る真実への不安をまっすぐから受け止めようとする覚悟の決まった…綺麗な瞳(め)をしている。

博士…貴方が愛したご子息は…もうこんなに大きくなっている。
彼女たちならきっと、どんなことだって……―――――――

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ブラン000「………わかった。すべてを語ろう。あれは…――――――――

11

―――――時は、11年前に遡る―――――
West・D・Landの広大な森林の奥地に、とある小さな集落が存在した。
そこに住んでいるのは、たったの5人――――― 『桐岡家』と呼ばれる一家だけである。

青髪の青年「ガチャッッ――――(早朝、集落の真ん中あたりに位置するとある一軒家の扉を開け、1人の青年が姿を現す。青色の長髪を後ろで結び、黒を基調としたラフな服装をした長身の青年は、木刀を片手に美しい朝焼けの空を眺めていた)空は快晴、風良し、気温良し……… うん、絶好の修行日和だ。」

―――――桐岡蒼真 当時28歳―――――

銀髪の女性「………あ、もう起きてた。(蒼真の後に続くように、家から出てきた人影がまた1人。美しいセミロングの銀髪に、眠たげな半開きの目をした、細身で小柄な体格の女性で、だぼだぼの白シャツだけを身に着けた状態でゆらゆらと青年の方へ歩いて来る)修行、行くの? ………朝ごはん、食べなくて、平気………?(か細い声で蒼真に尋ねる)」

―――――桐岡レフィア 当時26歳―――――

青髪の青年→蒼真「お、起きたかい?レフィ………  って、おおおおい!?(; Д) ゜゜(レフィアの格好を見て、驚き赤面しながら)な、なんて格好してるんだ!は、はしたないからすぐに着替えて………!」

銀髪の女性→レフィア「………?(蒼真の顔を見て、首を傾げ)変なの…… これくらい、なんともないのに……… 今の私と、蒼真の、仲なら………。」

蒼真「い、いや、そうだけど、ね?もうすぐ"子供達"が起きて来るかもしれないだろ?流石に"母親"のそんな姿を見せるのは……… そ、それに、これから朝ごはん作るんだよね?だったら尚更着替えてもらわないと……… そ、そんな恰好じゃ、せっかくの食事に集中できる自信が……… ね?(赤面でおどおどしながら)」

レフィア「………あぁ、そういう事……… それは、確かに………(なんとなく理解した様子で)待ってて…… 着替えて、すぐ作るから……… あ、ついでに、子供達も、起こして……。(蒼真にそう言って、自室へ戻っていく)」

蒼真「あ、あぁ、分かったよ……(そう言うと、再び家に入って玄関に木刀を置き、通路の奥側にある和室の扉の前へと歩いていき)さーてと―――――  おーーーーーい!!朝だぞーーーーーーーっ!!!みんな起きろーーーーーーーっ!!!!(勢いよく扉を開け、部屋中に響くような大声を出す)」

子供A「ピクッッ ………(声に反応するかのように、ゆっくりと起き上がる小さな影が1人。父よりも少し濃いめの青髪の、おそらく12歳くらいの少年で、どういうわけか顔に縫い目のような1本の傷があり、左目は黒の眼帯に隠されているという異様な風貌をしたその少年は、眠気の残っているであろう気だるげな表情で父親の方に黙って目を向ける)」

―――――長男・桐岡幸助 当時12歳―――――

子供B「………ぅ………う~~~~ん………(それからすぐに、もう1人の小さな人影が目を覚ます。父と、長男と思わしき少年と同じ青の髪をした小さい少年は、寝ぼけ眼でゆらゆらと起き上がり)………とう……さん………? もう……なんだよぉ………。」

―――――次男・桐岡幸一郎 当時5歳―――――

子供C「……………スゥ……スゥ………(小さな少年の横に、更に小さい人影が1人。綺麗な青色の長髪をした、おそらく1歳くらいの小さな女の子は、父の大声に動じることなくすやすやとと眠り続けていた)」

―――――長女・桐岡明 当時1歳―――――

蒼真「おはよう、幸助(こうすけ)!幸一郎(こういちろう)!(起き上がった少年2人にそれぞれ呼びかけるように)そんで…… 明(あきら)はまだ起きないか………(女の子の方に目を向けて)まぁいいや…… お前たち、今日は絶好の修行日和だぞ!さぁ、早く起きて支度をするんだ! ……と、その前に、まずはお母さんの美味しい朝ごはんを食べてからな♪(明るい笑顔を2人に向けて)」

幸助&幸一郎「「は~~~い………(寝ぼけながら、まるで双子かと思うほどに同時のタイミングで返答し)」」

彼らは、由緒代々伝わる"忍"の一族として名を馳せた家柄であり、その特異な体質と受け継がれし技術の数々を駆使し、世界一の凄腕諜報部隊として名を馳せる存在となっていた。
その血と習慣は今も尚ひっそりと受け継がれており、現当主である蒼真とその妻、レフィアの2人は世界政府直属の極秘諜報員として暗躍する傍ら、3人の子供たちと共に幸せな日々を送っていた。
一家の存在は世界政府の最重要機密の1つとして厳重に守られており、今住んでいるこの場所も、政府が所有、管理する区域の1つ。
彼らは普段、殆ど外界から隔離されたこの小さな世界の中でのみ生きることを許されているようなものだった。
それでも、彼らは家族揃って平穏な日々を送れることに感謝し、自然に囲まれたこの場所で悠々と楽しく暮らしていた。

あの日が、来るまでは――――――――

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―桐岡家の裏・森の奥の稽古場―

蒼真「(周囲が木々に囲まれた広場の中心に立ち、木刀を構えて)よーし……… 来い!幸助!!」

幸助「!! ダンッッ――――!!!(木刀を手に、蒼真目がけて駆け出し)ヒュンッ…… ビュバババババババッッ――――!!!(目にも留まらぬ速さで斬撃を繰り出す)」

蒼真「ガガガガガガガガッッ――――(繰り出された斬撃を全て木刀で受け流し)良い速さだ…… 腕を上げたな!!(そう言って、幸助に向けて横一閃の攻撃を繰り出し)」

幸助「まだまだ・・・(高く飛び上がって一閃をかわし)こんなもんじゃないよ、父さん!!!(そう言って、幸助に向けて手をかざし)」

ビビビビッッ……  バリバリバリバリバリッッッッ!!!!!!!!!(幸助の手から超高圧の電撃が放たれる)

蒼真「う お お っ っ ! ? (電撃をまともに食らい)こ、こ、これは……… 今までで一番凄まじい………っ お前…… 遂にここまでの電力を……… す、すごいじゃないか……… 100点まで、もう少しってところだな………!!(体は震えているものの、膝はつかずしっかりと立っており、再び木刀を構える姿勢を見せ)さぁ…… 次はどんな技を見せてくれるのかな?」

幸助「おかげ様で、俺もここまで強くなれたよ・・・ 次はこいつだ、くれぐれも死なないように気を付けてくれよ・・・!(そう言うと、人差し指に風を集めて"風の手裏剣"を形成し、それを凄まじい速さで蒼真に連射し)」

蒼真「!!(この技は……! まったく幸助の奴め、どこまで行きやがる………!)ヒュバババババババッッ――――!!!(目にも留まらぬ速さで動き、風の手裏剣を紙一重で避けて)……ったく、父親に対して随分な口の利き方だな?たが、それに見合うだけの実力をつけてきてるところは褒めるべきか…… よし、良いだろう、父さんもちょっとばかし本気を出してやろうじゃないか………!(そう言うと、木刀を投げ捨てて両手を広げ、両の掌に風を集めて巨大な丸ノコ状の風の刃を形成し)―――――行くぞっ!!!(幸助目がけて駆け出していく)」

ビュオオオオオンンッッ!! ガァンッッ!! ギィンッッ!! ドドドドドドッッ!! ズギャアァァァァァァンッッッ――――!!!(激しい土煙を巻き上げながら、とても稽古とは思えない超高速のぶつかり合いが繰り広げられる)

幸一郎「おお~…… 父さんも、兄ちゃんも、すげー………!(稽古場の隅の切り株に座り、目を輝かせながら2人の稽古を観戦し)」

レフィア「すごい、でしょ。(明を抱いて幸一郎の方に歩み寄り)幸一郎も…… いっぱい頑張ったら、なれるかも。」

幸一郎「あ、お母さん! ……と、アキラも! ねぇねぇ、俺にもアキラ抱っこさせて、一緒に見るんだ!」

レフィア「……はい。(幸一郎に明を渡して)明も、幸一郎に会いたがってた……… と、思う。(幸一郎の隣に座って)」

明「ぁー…… あぅー………♪(幸一郎に抱けれ、嬉しそうな様子で)」

幸一郎「えへへ、兄ちゃんも会いたかったよー、アキラー。(デレデレな様子で明を抱きながら)よーし、兄ちゃんと一緒に父さんと幸助兄ちゃんのバトル見るぞー、2人とも本当にすごいんだからなー。 ……あ、母さん聞いてよ!さっきね、幸助兄ちゃんがすごい事やったんだよ、父さんの剣をひょいって避けた後、手をこうやってね…… バリバリバリーってすっごい電気を出したんだ!そしたら父さんしびれちゃってね、もう少しで100点って言ってたんだよ!(興奮した様子でレフィアに)」

レフィア「! ……本当に?(少し驚いた様子で)へぇ、あの父さんが…… それは、凄いね。 ……だから、あんなにムキになってるんだ。(蒼真と幸助の戦いを見ながら)」

幸一郎「うん、その後もさ、幸助兄ちゃんが風の手裏剣でズババババーーーって、すっごいの連発してさ、そしたら父さんも本気出すぞってなって……(2人の戦いに目を向けて)良いなぁ、俺も父さんに本気出させてみたいんだけどなー……。」

レフィア「……幸一郎には、まだちょっと早いかな。これから何年もいっぱい修行して、術を磨かないと…… 幸一郎の場合は……… 多分、もう10年くらいは必要かも。」

幸一郎「えぇ~、そんなに~? ……はぁ、俺も幸助兄ちゃんみたいな"サイボーグ忍者"だったらなぁ……。(戦っている幸助を見ながら呟く)」

レフィア「……サイボーグ忍者、か…… 響きはカッコいいけど、本人の前でそれは言わないであげて。(幸一郎に寄り添って)……幸助は、なりたくてあんな風になったんじゃないから…… とても大きな事故にあって、本当に、本当に死んじゃうかもってくらい、酷いケガをして…… 仕方なく、こうなるしかなかったの。最初は、普通に動くのも大変で…… たくさん、たくさん頑張って、頑張りぬいたから、今みたいにちゃんと動けたり、戦えるようになってるの。母さんは、そんな幸助を凄いと思うし、カッコいいとも思う。 けど……… 幸一郎にまでそんな風になってほしくはないかな。」

幸一郎「……! そうだったんだ……… ごめん、もう言わないよ。」

レフィア「………焦らないで。幸一郎は幸一郎のペースで、強くなっていけば良い。(微笑みながら、幸一郎の頭を撫でて)そうすれば、いつか必ず父さんや、幸助よりも強くなれるから……。」

幸一郎「………そう、かな……… えへへへ………。(撫でられながら、嬉しそうな様子で)」

蒼真「おーい、次は幸一郎の番………(幸助との稽古を終えて歩いてくる途中で、レフィアに撫でられている幸一郎の姿を見て)あーっ!ズルいぞ幸一郎、父さんを差し置いて母さんとそんなーーーっ!!明までお膝に乗せてーーーっ!!至れり尽くせりじゃんかぁーーーっ!!٩(◦`Д´◦)۶(ジェラシーむき出しの様子で喚きながら)」

幸助「止めてくれよ父さん、実の息子相手に・・・。(呆れ顔で蒼真を見て)」

レフィア「あ、終わった? まぁまぁ、後でいっぱいしてあげるから…… 幸一郎にはちゃんと手加減するように。(顔色一つ変えず冷静に蒼真を宥めながら、水のボトルを手渡し)」

幸一郎「もう、うるさいな父さ…… Σあれっ、もう終わったの?(蒼真と幸助を見て)ねぇねぇ、どっちが勝った?俺うっかり見逃しちゃって……。」

幸助「どっちがって、勝負じゃないんだから勝ち負けは関係ない・・・(幸一郎の隣に来て)ほら、次はお前だ。アキラは俺が預かっとくからしっかりやって来いよ?」

蒼真「……本当?約束だからね?(´✪ω✪)✧(レフィアにそう言い、ボトルの水を飲んで)………ふぅ、そんじゃ始めようか幸一郎!妹にカッコいいとこ見せれるように頑張らなきゃだめだぞー?(広場の方に移動し、木刀を構えて)」

幸一郎「あ、うん、分かった…… アキラ、しばしの別れだ、寂しいけどそこで兄ちゃんの勇姿を見ててくれ………!(渋々幸助に明を渡し)よーし、行くぞ父さん! ……あ、幸助兄ちゃん?アキラの事はちゃんと優しく抱いてあげててね!強くしちゃダメだからね!(そう言って、木刀を手に蒼真の方へ駆けていく)」

幸助「まったく、あれさえなければ完璧なのにな・・・(蒼真を見て)はいはい、大丈夫だからとっとと行け・・・ 本当、5歳なのにとんだシスコンだな?(呆れながら幸一郎を送り出し)」

レフィア「……だけど、そこが良い。(幸助の隣で柔らかな微笑みを浮かべて)……明も、そう思うでしょ。」

明「ぇひひ…… あーう……♪(幸助の膝の上で、明るい笑顔を浮かべながら)」

幸助「はぁ・・・ 子供の前でまぁ、お熱い2人だこと。(苦笑いしながらレフィアを見て)」

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????「(その頃、集落へ続く道を歩く影が1人―――)………はぁ……はぁ……… やれやれ、相変わらずキツい道のりだ……… "仕事"とはいえ…… 毎回こんな道を通らねばならないなんて……… とはいえ、車が通れる道を作れとは、言えないし……… うぉぉ~、もう少しだぁ~~~………!(大きなリュックを背負ったその人影は、独り言を漏らしながらヨロヨロと舗装されてない道を歩くのだった――――――)」

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幸一郎「行くぞっ…… おりゃああああああっ!!!(木刀を手に、蒼真に向かっていき、連続攻撃を仕掛ける)」

蒼真「良いぞ……! ほらほら、もっとだ!もっと打ってこい!!(広場で、幸一郎の攻撃を木刀で裁きながら)」

カンッ カンッ カンッ――――(木刀のぶつかり合う小気味の良い音が、稽古場中に響き渡る)

幸助「(明を膝に乗せ、蒼真と幸一郎の稽古を見ながら)・・・へぇ、幸一郎も意外とやるもんだな。(感心したような表情で)」

レフィア「でしょ…… はい、幸助。(稽古を観戦中の幸助に水の入ったボトルを渡し)さっきの、見てた…… すごかったよ。」

幸助「ありがとう、母さん・・・ まぁ、小さいころからみっちり鍛えられたおかげかな?(ボトルを受け取って)・・・あいつ、思ったよりセンスあるね?これは成長が楽しみだな。」

レフィア「そうね…… 弟の成長を素直に喜べるなんて、幸助も良いお兄ちゃんになったね。」

幸助「おかしいかい?兄としては当然の反応だと思うが・・・。(水を飲みながらレフィアに)」

レフィア「ううん、全然。とても、嬉しい…… これからも、幸一郎と明をよろしく。(優しく微笑みながら)」

幸助「言われなくても、そのつもりだ・・・俺はこいつらだけじゃない、父さんも母さんも、皆守るって決めてるんだからな。(明を撫でながら)」

明「あーう、えうう……♪(撫でられ、上機嫌な様子で)」

レフィア「Σえ、何それ、カッコ良過ぎる……… そこまで考えてくれてるなんて、お父さんに言ったら大泣きするかも。」

幸助「そうだな、だから父さんにはあんま言いたくないかな・・・ だが、2人には返しきれないくらいの恩があるのは事実だ・・・ 赤ん坊の頃、戦場で実の親と死に別れた俺を拾い上げ、ここまで育ててくれただけでもありがたいのに、可愛い弟と妹まで俺にくれるなんてな・・・ 至れり尽くせりとは、まさにこの事だよ。」

レフィア「どういたしまして…… それくらいお安い御用です、"親"なので。✧(⩌⩊⩌)」

幸助「親、か・・・ 本当に、今更こんなこと聞くのは申し訳ないなとは思うが・・・ どうして、俺にここまでしてくれるんだ?俺や、俺の実の親とは何も面識すらなかったはずだし、俺を拾ったとき2人はまだ10代だったよな?いろいろ面倒ごとだってあったはずだ、それなのに俺を息子として育て、今もこうして血の繋がらないにも拘らず「長男」の座に就かせてくれている・・・ 一体、どうして?」

レフィア「それは…… 特に、深い意味はないというか…… ……ただ、放っておけなかった。助けたいと思った。そのうち、成長を見守りたくなって…… 本気で、家族になりたいと思って…… で、今に至る。 ………こんな感じかな。」

幸助「えらくざっくり言ってくれるな、母さん・・・(汗) まぁ、多分父さんに聞いてもそういうかな・・・。」

レフィア「そうね、父さんはそういう人だから…… 母さんも、その影響を受けたって感じ。」

幸助「だろうね、見てたら分かるよ・・・ とにかく、2人には本当に感謝してる。これからも、よろしく頼むよ・・・。(照れくさそうな笑みを浮かべながら)」

レフィア「………こちらこそ、末永くよろしくお願いします。(愛おしそうに笑いながら)」

蒼真「(稽古を終え、幸助とレフィアの方に歩いて来て)ふぅ…… これで今日の修行終わり、っと……… って、あれぇ?今度は幸助といい雰囲気になってるよぉ!?レフィアちゃぁ~ん、さっきはあとでいっぱい俺の事よしよししてくれるって言ってたじゃぁ~ん………(´✪ ✪)✧(うるうるとした視線をレフィアに向けながら)」

幸一郎「終わったぁ~、アキラお待たせ~♪(幸助と明の方に駆け寄って)あ、お母さんも幸助兄ちゃんも、俺の戦い見てくれてた?まさかずっとよそ見してないよねぇ……?(˘•ω•˘)(2人をじっと見て)」

レフィア「2人とも、おかえり…… うん、見てたよ。強くなったね……(幸一郎の頭を撫でてて)………まぁまぁ、慌てない慌てない。(蒼真の方へ歩み寄り、優しぐ抱きしめて)今日もお疲れ様…… ちょっと休んだら、2人でお買い物行こうか。(蒼真の頭を撫でて)」

蒼真「Σはっ……(ハグとなでなで同時攻撃を受け)……うん、行こう行こう♡その前に、チューしない?チュー~~♡(レフィアを抱きしめ返し、割と見てられないレベルの甘え声で)」

レフィア「Σえ……  ………子供達、見てるから……… するなら、場所変えて………。(頬を染めながら、満更でもない様子で)」

幸助「うわぁ・・・これは酷い、まったく見ていられないな・・・!(汗)(ドン引きしながら夫婦から目をそらし)ん?あぁ、見てたよ、母さんと、アキラと一緒にな・・・まぁ、なかなかやるじゃないか?この調子で頑張るんだな。(幸一郎に明を渡して)」

幸一郎「えへへ……俺、強く………   ………………わぁ、父さんこえー………。(º ⌓º )(母に頭を撫でてもらえた嬉しさをかみしめる間もなく目に飛び込んできた父の行動に、幸助と同じくらいドン引いた様子で)………ぇ、あっ、そ、そうでしょ?俺だって鍛えてるんだからね、兄ちゃんには負けないぜ!(幸助にそう言った後、表情を切り替えて明を受け取り)アキラ、見てたかー?兄ちゃんカッコよかっただろー?」

明「ぅー…… あーぃ……♪(幸一郎に抱かれながら、明るい笑顔を見せ)」

????「………はぁ……はぁ………(そんな一家の方へと、ゆっくり近づいて来る人影があった…… そう、ちょっと前に集落へ続く道をヒィヒィ良いながら歩いていたあのリュックの男である)…………お~い、こ、ここにいたかぁ~…… 蒼真君、レフィアさ~ん……… あ、相変わらず仲がいいことでぇ………(汗だくになりながらも、何やら親しげな様子で2人に声をかけ)こ、子供たちも一緒で…… もしかして、稽古中だったかなぁ………?(日の光に照らされて現れたのは、ぼさぼさの金髪と整った口ひげ、派手なサングラスが特徴の、白衣姿の男で、大きなリュックを背負いながら一家の方へ歩いて来る)」

蒼真「!(男の声を聞いた瞬間、デレデレ顔から元のシュッとした顔に戻り)その声は…… 博士!ヴァナダ博士じゃないか!(急いで男の方へと駆け寄って)うわ、凄い汗だ…… 大丈夫かい?」

レフィア「! 博士………(蒼真に続いて、男に駆け寄って)………また、わざわざ…… 連絡くれたら、迎えに行くのに………。(⩌ ⩌;)(男を見て)」

幸助「・・・あんたは・・・!(男を見て)・・・これはまた、随分と大荷物で来たもんだな?ご苦労な事だ・・・。」

????→ヴァナダ「大丈夫大丈夫、これくらいはね、私も男だから……… あぁ、いえいえ、お構いなく………(リュックを背負いながら夫婦に)おお、幸助君…… お見苦しいところを見せてすまないね…… 今日はちょいと必要な物が多くなっちゃってね……… ははは………(汗だくで笑いながら幸助に)」

―――――ヴァナダ吉岡 当時32歳―――――

幸一郎「んー?(幸助の後ろから顔を出し、ヴァナダを見て)………げっ、お、お前は………!(ヴァナダを見るや否や、警戒した様子で)」

明「………?(幸一郎に抱かれながら、ヴァナダを不思議そうに見て)」

蒼真「こら、幸一郎!失礼だろ……… いやぁ、ごめんね博士、今やんちゃな盛りで………。」

ヴァナダ「いやいや、仕方ないさ…… 必要なこととはいえ、何度も何度もこの子達には申し訳ないと思っているよ……(申し訳なさそうな表情で蒼真に)……さて、幸一郎君……… 本当に、本当に申し訳ないけど――――――  また、君達を"診せて"もらえるかな?(幸一郎と明を見て)」

幸一郎「………! あのさぁ、おま……… おじさんは、一体何なのさ?」

ヴァナダ「おじさんかい?前にも言ったように、おじさんは君の父さんと母さんのお友達で……… 幸一郎君と、明ちゃん専属の"お医者さん"だよ。(幸一郎の目線に合わせて体勢をかがめて)君たちの体がどこも悪くないか、定期的にチェックするのが、お仕事なんだ……… そういうわけだから、今回も付き合ってくれるかな?」

レフィア「………幸一郎、嫌かもしれないけど、これは2人の為だから……… お願い出来るかな?」

幸一郎「………はぁ………(不服そうにため息をつきながら)分かったよ、すぐ準備するから……… ただし、あんまりアキラに変なことしないでよ?(そう言って、明を抱いたまま家に続く道へ歩いていく)」

幸助「・・・ま、気持ちはわからなくもないがな?俺も、可愛い弟と妹の体を他人に隅々までベタベタ触られたり、見られたりするのは良い気分じゃないからな・・・ 今日は俺が博士の付き添いで話を聞いたりするから、父さんと母さんはその間に買い物に行って来たら?今までのやり取りは見てきてるから、それくらい余裕さ。(そう言って、家の方に歩いていく)」

蒼真「Σえ、良いの?やった♪ ……あ、いや……… オホンッ(表情と感情を切り替えて)悪いな、幸助…… それじゃぁ博士、2人の事を頼んだよ。(真剣な表情でヴァナダに)」

ヴァナダ「いやぁ……本当、すまないと思ってるよ……(幸助に)……あぁ、任せなさい。……君達の子供は、私が必ず何とかするからね………(何やら意味深な言葉を返した後、幸助についていく)」

レフィア「…………(ヴァナダと子供たちの後姿を、心配そうに見守り)」

蒼真「(レフィアの肩に手を置いて)……大丈夫さ、きっと何とかなる。  ――――博士を、子供たちを信じよう。(そう言って、レフィアと共にその場を後にする)」

18

―桐岡家―

ヴァナダ「(広間で、幸一郎と明の診察を終えて)………よし、これで診察は終わりだ。今回も付き合ってくれてありがとうね。」

幸一郎「(診察を終え、服を着なおしながら)はぁ…… 見ての通りこんな元気だってのに、診たって意味ないと思うけどなぁ………。(不満を漏らしながら)」

幸助「まぁそう言うな・・・気持ちはわかるが痛い事をされるわけじゃないし、診てもらった方が父さんと母さんも安心するからな。(明の服を着せなおしながら)それで、結果は?何か変なところは見つかったのか?(ヴァナダに)」

ヴァナダ「そうだね…… 今のところ、異常は特にないかな。今回も2人揃って健康で何よりだ。(診断結果を記した紙を見て)」

幸一郎「ほらぁ、だから言ったじゃん!何処も悪くないって……  ねぇアキラ?(幸助に服を着せてもらった明を抱いて)」

明「ぅあ、あぅー(特に何も考えてない様子で、幸一郎に抱かれながら)」

幸助「お前な、体調ってのは急に悪くなる場合もあるんだぞ?まぁ、仮に病気にならないとしても、何かとそそっかしいお前の場合は大怪我で入院の可能性の方が大きいがな・・・。」

幸一郎「何だよバカにしてさぁ、俺がそんなヘマするような奴に………」

幸助「見えるから言ってる。(即答)」

幸一郎「何だとーーーーーっ!?(# Д) ゜゜」

ヴァナダ「こらこら、妹の目の前で喧嘩しちゃいけないよ。お兄ちゃん同士仲良くね?(診察に使った機材をリュックに詰めなおしながら)」

幸一郎「Σはっ…… ご、ごめんアキラ!急に大きな声出して……怖かったよね?(我に返り、心配そうにアキラの顔を見て)」

明「あーぃ………あうぅー………♪(特に気にする様子はなく、上機嫌な様子で)」

幸助「前から思ってたが・・・本当に肝の座った妹だな?まだ赤ん坊だってのに、滅多な事じゃ泣きもしないなんて・・・。(明の顔を見て)」

ヴァナダ「確かにね…… 話によると、夜泣きだって殆どなかったとか…… 赤ちゃんの頃からそんなに大人しい子は珍しいねぇ。もしかすると、お母さんに似たのかな?」

幸一郎「えっ…… おじさん、母さんのこと知ってるの?」

ヴァナダ「あぁ、知ってるとも。言ったろう?私は2人の友達だって…… 知り合って間もない頃のお母さんはね、例えるなら「機械人間」と言っていいくらい冷徹な女性でね…… いかなる時でも表情一つ変えず、黙々と仕事をこなす人だったんだ。それが今ではよく喋り、よく笑うようになって…… お父さんや、君達の存在が、彼女を立派な「母親」に変えてくれたんだなと、改めて思うよ。(リュックに機材を詰め終わり)うーっし、終わったぁー……。」

幸一郎「へぇー……… 母さんって、機械だったのか………(とぼけた想像をして)」

幸助「全然違うからな?(幸一郎に)そういう事、母さんにあまり言わない方がいいよ?それなりに気にしてるからな・・・。」

レフィア「そう、幸助の言う通り…… 私すごーく気にしてるんだけどなぁ……… 博士、私の事そう思ってたんだ………。(いつの間にかヴァナダの後ろにいて、彼の首筋にそっと指を這わせて)」

ヴァナダ「え? んひやっふぉdtyじゅdbさfdexiぃぃぃ!?( ´;゚;ё;゚)・;’.(凄まじいまでにビビり散らかしながら)れ、レフィアさん!?……か、帰ってたの………?」

幸助「・・・あ、お帰り母さん。(平然とした顔でレフィアに)ふっ・・・ おい、見たか幸一郎?博士のあの顔・・・。(笑いを堪えながら)」

幸一郎「うわ、母さんいつの間に…… おかえりー。(明を抱きながらレフィアに)……うん、見た。すっごいビビッてやんの………(同じく笑いを堪えながら、博士を指さして)」

レフィア「ただいま…… どう?母さんも上手いもんでしょ……… はいこれ、今日のおやつです。(⩌⩊⩌)っ((袋))(どや顔で息子達に買い物袋を渡し)ちょっと前にね…… ちなみに夫は後から来ます、何処から来るか予想してみて………。(にやつきながらヴァナダに)」

ヴァナダ「え、何それ怖い…… というか、何遊んでんの?君ら何歳よ……?(・ω・`;)」

幸助「まぁまぁかな・・・お、ありがとう。幸一郎、先選んでな。(袋を幸一郎に渡し)あんたはたまにしか来ないから知らないだろうけど、父さんと母さんは毎回こんな感じで帰って来るからな?2人共いい歳だろうに、こういう事してキャッキャしてるんだよ・・・まぁ俺としては、これも修行の一環として楽しませてもらってるけどな?(ヴァナダに)」

幸一郎「うん、全然気づかなかった……流石母さんだね。(レフィアに)おっ、やったー!えっとね、どれにしようかな………?(明を片手に抱きながら、袋の中を物色して)」

レフィア「まぁまぁか…… 悔しいけど、幸助も成長したって事ね……(感心した様子で幸助に)ふふ…… 幸一郎は素直で良い子だね、今日は1つと言わず2つ選んで良いよ……(幸一郎に)………あ、肝心なこと聞くの忘れるとこだった……… 博士、2人の体はどうだった………?(ヴァナダに)」

ヴァナダ「あー、そうなの…… 賑やかな様で何よりね………(-ω-`;)(幸助に)ん? あぁ、幸一郎君と明ちゃんね…… 2人共、特に異常は無かったし、"数値"もこの通り平常だ…… 安心してくれて良いよ。(そう言って、レフィアに診断書らしき紙を渡し)」

レフィア「(診断書を受け取って)………良かった……… いつもありがとう、博士………。(安堵したような表情でヴァナダに)」

幸一郎「Σえっ!?い、良いの?本当に……… わ、悪いね幸助兄ちゃん、俺だけこんな………。(;´◉౪◉`)(にやけた顔で幸助に)」

幸助「良いから別に、気色悪い顔してないでさっさと選んで食ってろって・・・・   ・・・・・・・・(幸一郎にそう言った後、ヴァナダとレフィアの方を黙って見つめ)」

ヴァナダ「いやいや、友の力になれて何よりさ…… さて、私はこれで………っと………  ん………?(リュックを再び背負おうと四苦八苦しながら)……あれ、どうやったっけこれ………?(・ω・`;)」

蒼真「 ガ タ ッ ッ (・・)ノ/(突然、ヴァナダのすぐ近くの畳を内側から勢いよく開けて現れ)おぉい、俺の事は無視かい?そりゃないだろ博士ー?」

ヴァナダ「ァア゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!( Д)     ◎ ◎(かつてないレベルの悲鳴を上げてすっ転び)ぅ…… ぶぇっほ………っ そ、蒼゛真゛ぐん!?何で、そういう事すんの゛!?(半ギレ涙目で蒼真に)」

幸助「・・・・! おかえり、父さん・・・・っ(ヴァナダを見て、笑いを堪えながら)」

幸一郎「あ、父さん、おかえ…… ブッッ  ぁはははははははははははwwww(  )ノ彡☆.:∵バンバン ぁ、あ゛ーーーってwwww(ヴァナダの悲鳴に爆笑しながら机を叩き)」

明「ぁーう……ぇひひひ……♪(幸一郎の腕の中で明るく笑っている)」

レフィア「……………おかえり……… これ、診断書…………。(笑いを堪えているのか、肩を震わせながら診断書を蒼真に渡し)」

蒼真「おう、ただいま…… そ、そんな化けもの見たようなリアクションする?親友(ダチ)に対して…… (´・ω・`;)(ヴァナダのリアクションに若干ショックな様子で)……! あ、そうだ、結果は………(急に真面目な顔になって診断書を受け取って)…………そうか、今回も大丈夫か……… 良かった……… サンキュー博士、そして驚かせてごめんな?リュック、手伝うよ。(安堵の表情を見せた後、ヴァナダに駆け寄って)」

ヴァナダ「はぁ……… まぁ、君達が楽しそうで何よりだよ。おぉ、ありがと………(蒼真に手伝ってもらいながらリュックを背負って立ち上がり)さて…… それじゃぁ私は失礼するよ、この後もまだまだ仕事が残ってるからね…… また何かあったら遠慮せず連絡してくれよ?すぐに駆け付けるからさ…… あ、そうだ!そういえばまた最近良い発明品のアイデアが浮かんだから、次来るときお披露目しても良いかな?子供たちのリアクションも見たいからね。」

蒼真「おお、それは是非とも見せて欲しいね!子供達もきっと気に入ると思うよ、博士の発明品は最高にイカしてるからな!(ヴァナダの肩に手を置き、グッドサインをしながら)」

レフィア「………私も、久々に見たいかも。………楽しみにしてる。」

ヴァナダ「ははは、嬉しい事を言ってくれるね。じゃ、私も気合を入れて作ってやろうじゃないか、仕事の合間にちまちまとね…… じゃ、そろそろお暇させてもらうよ。次も2週間後くらいに来ることになるだろうから、よろしくね……… 幸助君、幸一郎君も、またね!(そう言って桐岡家を後にする)」

幸一郎「モグモグ…… ん、うん、バイバイ。( ˙༥˙ )ノシ(お菓子を食べながらヴァナダに手を振り)」

蒼真「あぁ、またな博士!(玄関口でヴァナダを見送って)………そんじゃ、うちらは飯の準備でもするかな。(そう言って、家に入っていき)」

レフィア「………分かった…… また、よろしく。(蒼真と共にヴァナダを見送って)………うん、そうしよう………。(蒼真に続いて家に入っていく)」

幸助「・・・・・・・・(広間の窓から、桐岡家を後にしていくヴァナダの姿を黙って見つめ)・・・・引っかかるな・・・・・(小さくそう呟いた後、窓から離れて広間の奥へと消えていく)」

19

そして、その日の夜――――

蒼真「(家の外で、夜風に吹かれながら刀を手に1人立っており)………子供たちは、もう眠ったかい?(自身の背後に向けて言葉をかけ)」

レフィア「(蒼真の背後から現れ)………えぇ、もう大丈夫………ぐっすり、眠ってる。」

蒼真「よし……… それじゃぁ、行こうか。(レフィアの言葉を聞き、安堵した様子で歩き出す)」

幸助「どこへ行くって?(突然、蒼真とレフィアの前に現れ)こんな時間に、2人でデート・・・ってわけでもないよな?」

蒼真「!! ……こ、幸助!? どうして、ここに………?」

レフィア「え………(目を見開き、かなり驚いた様子で)………嘘……… 私、ちゃんと確認したのに………。」

幸助「あまり俺を見くびるなよ?父さんと母さんの目を欺くくらい、今の俺なら余裕だ・・・ 前々から何か怪しいと思ってたんだが、2人共あの博士と一緒になって何か隠してるだろ?おそらく、幸一郎と明に関することをな・・・そうだろ・・・!(2人を睨み付け)」

蒼真「………!(余裕って、マジかよ…… いや、実際声を掛けられるまで俺達はこいつに気が付かなかった…… この歳で、もうそこまで忍びの技術を…… 何て成長スピードだ……… これは、参ったな………)……ははっ、まさかここまでやるとはな…… 凄い奴だよ幸助、凄すぎて父ちゃんドン引きだわ……… そうか、分かっちまったか。やっぱお前にゃ隠し事は出来ねぇかぁ……。(観念したような様子で)」

幸助「やっぱり、そうか・・・俺は、言ったはずだぜ?困っている時は何でも言ってくれ、必ず力になるからって・・・2人の気持ちはわかるさ、俺を巻き込みたくないんだろ?けど俺だっていつまでも守られるだけの子供じゃないと、今ので分かっただろ・・・ 教えてくれ、幸一郎と明に何があった?俺に出来ることがあるなら何でもするから、頼む・・・ 俺も兄貴として、あいつらを助けたい・・・!!(頭を下げて)」

レフィア「………とうとう、この日が来たのね………。(幸助に歩み寄り)……2人の事、いつかは貴方にも話そうと思ってた……… でもそれは、もっと先……… 貴方が、立派に成長して…… どんな辛いことも受け止められるくらい、強くなってから……… そう思ってたんだけど……… こんなに早く、その日が来るなんて………。」

蒼真「あぁ、全くだな…… けど、こうなっちゃ仕方ない………(背を屈め、幸助と目線を合わせるような体勢で)顔を上げろ、幸助。お前の思いは、よく分かった……… だが、この話をするには条件がある…… 幸一郎と明の件は、今俺達がやっている任務と深く関わる"極秘事項"なんだ。例え身内であろうと、任務に携わる者以外に口外することは出来ない…… だから、お前が2人の事を知り、助けたいというのであれば――――――(懐から封筒を1つ取り出して)――――――お前も、この任務に参加する必要がある。」

幸助「・・・!(顔を上げて)俺が、任務に・・・ ?(封筒を見て)・・・それは・・・?」

蒼真「……今まで隠していたが、幸助…… お前の実力と素質は、とっくに政府のお偉いさん方に認められてたんだよ。これは、お前が俺達と一緒に任務に携わる資格を得たことを記した"認定証"だ…… お前に参加の意思があるなら、すぐにでも加わることが出来る…… だが、この任務は難易度も危険度もトップクラスだ、それなりの覚悟をして挑む必要がある…… そんな任務にいきなり参加させて良いものか、ずっと迷っていた……。」

幸助「・・・!! マジかよ・・・そんな大事な事、どうして黙ってたんだよ!?言ってくれたら俺は迷わず承諾したのに・・・! 2人と一緒に仕事をするのは、俺の夢だった・・・ その為にずっと鍛錬してきた・・・ 政府も認めてるんだったら、そんなに迷う必要なんて・・・!」

レフィア「………えぇ、知ってる。だから、言えなかったの……… 貴方の強さと素質は私達が一番よく知ってるし、上層部の人達も認めてくれてるけど……… それでも、怖かった。 ……誰よりも家族思いな貴方は、迷わず付いて来る………そして、どんな敵が相手でも臆さず向かっていく………… それでもし、貴方の身に何かあったら……… もし、あなたを失うような事があったら……… 私は………。(微かに震える声で)」

蒼真「(レフィアの様子を見た後、幸助の方に目を向け)………お前には言ってなかったけど、お前が事故で死にかけていた時、一番取り乱していたのは母さんなんだ。いつも冷静で、滅多な事じゃ顔色1つ変えない母さんが、あんなに泣いた姿は、俺も今まで見たことが無かった……… 最初は、幸助を拾うことに反対すらしてたのに…… それだけお前は、母さんの中で大切な存在になっているんだよ。」

幸助「嘘だろ、あの母さんが・・・? そこまで、俺の事を・・・ 本当に、あの時は心配をかけてしまって・・・ 悪かったと、思ってる・・・ けど・・・!」

蒼真「……お前の事を信用してないわけじゃないし、息子と一緒に任務を共に出来るのは、俺も母さんも嬉しく思う…… お前がどうしてもやるというなら、その思いを尊重するつもりだ。だが、その代わりこれだけは絶対に約束しろ……… 何があっても、父さんと母さんより先に死ぬな。どんな真実が待ち受けていたとしても、幸一郎と明の"兄ちゃん"でいろ……… 出来るか?幸助。(真剣な眼差しを幸助に向け、封筒を差し出し)」

幸助「・・・(数秒程沈黙した後)・・・誰に言ってるんだよ、父さん?俺はあんた達の――――― 最強の忍者の息子だぜ!(蒼真の手から封筒を取って)兄ちゃんでいろだって?言われなくても最初からそのつもりだ・・・ ちゃちゃっと任務をクリアして、2人に思いきり自慢してやるよ。俺がすげー兄ちゃんだって事、しっかり分からせてやる・・・ 誓うよ、絶対に父さんと母さんが悲しむような事はしない、だから安心してくれ、改めて俺をチームに入れてくれ・・・!(強い決意を秘めた瞳を2人に向け)」

レフィア「…………! ………分かった……… 母さんの、負けだよ………(幸助を抱きしめて)………本当に……… 立派に、なったね………。」

蒼真「……良い目だ……… お前の覚悟、しかと受け取った!!(幸助の肩を叩き)それじゃぁ一緒に、博士の研究室(ラボ)に急ごう…… そこで、すべてを教えてもらえるはずだ。(幸助に手を差し伸べ)――――――一緒に、2人を助けるぞ!」

幸助「! か、母さん、やめてくれよ・・・(赤面しながら)・・・! 勿論だ・・・弟と妹を守るのは、兄貴の役目だからな!(そう言って、蒼真の手を取る)」

蒼真「よし……… そんじゃ、行きますか!(手を離して立ち上がると、刀を鞘から抜いて)正式に俺達のバディになった記念に、見せてやろう――――――  俺の、とっておきの『術』を。 チャキッッ―――――(刀を構えて)――――――でやあぁっ!!!」

ヴ オ ン ッ ッ ッ――――(蒼真が刀で空を切った場所に、空間の"裂け目"が出現する)

幸助「!? ・・・こ、これは一体・・・?」

レフィア「ふふ…… すごいでしょ。(幸助を離して)これが、桐岡家に代々伝わる技の1つ……… 空間を切り裂いて、どんな場所にも瞬時に移動できる……… 数々の任務や戦闘で、とても重宝された…… お父さんだけが持つ得意技だよ………。」

蒼真「いやぁ、それほどでもぉ~。σ(*´∀` )とまぁ、おふざけはこれくらいにして―――――――  行くぜ、2人共。(空間の前に立ち、手招きして)」

幸助「マジかよ・・・ すごすぎだろ・・・!(目を輝かせながら)・・・! あぁ、分かった!(空間の裂け目に向けて駆け出していき)」

レフィア「………(立ち上がり、家の方に目を向けて)…………行ってくるね……… 幸一郎、明…………。(そう言って、蒼真たちの方へと歩いていく)」

ヴヴヴ………  パ シ ュ ゥ ン ッ ッ ッ―――――――(3人を迎え入れた後、"裂け目"は閉じて綺麗さっぱり消滅する)

20

―Central・A・Land ……の、何処かにある地下研究施設―

ヴァナダ「(円卓の椅子に1人腰かけ、静かに来訪者を待っており)…………来たみたいだね、待っていたよ。(何かを感じ取ったように顔を上げ、前方へ向けて言葉をかける)」

蒼真「シュタッッ―――――(空間を裂き、ヴァナダの前に降り立って)お待たせ、博士…… サプライズじゃぁ無いんだけどさ、今日は新しい仲間を連れて来たぜ。(自身の後方を指して)」

幸助「(蒼真の後ろから姿を見せ)よぉ博士、数時間ぶりだな・・・ 今日から俺も任務に参加させてもらうから、よろしく頼むぞ。(ヴァナダに)」

レフィア「(幸助の後に空間の裂け目から降りて来て)……ごめんね、博士……… うちの長男、勘が鋭いもんで………。(申し訳なさそうな目つきでヴァナダに)」

ヴァナダ「! 幸助君……… そうか、とうとうバレちゃったか……… 私も何となく彼の視線が気になる時があったから、もしかしたらとは思ってたが……… まぁ、2人が認めているのならそこまで心配する必要も無いだろう………(椅子から立ち、幸助の方に歩み寄り)こちらこそ、よろしく頼むよ。幸助君……… 今日より君は正式に、我ら『ケイオス先人類討伐作戦部隊』の一員だ。共に"奴"の魔の手から幸一郎君と明ちゃんを…… この世界を守り抜こうじゃないか。」

幸助「・・・! 『ケイオス先人類』・・・それが、2人を狙っている奴の名か・・・? 大層な名前を掲げやがって、一体どんな奴なんだ・・・奴というより、組織か・・・?何であれ、家族に手を出そうというなら、俺はそいつらを決して許さない・・・!(明確な敵の存在を知り、それに対する強い殺意を秘めた声色で)」

蒼真「そうだなぁ、絶ッッ対許せないよな?俺達もそうさ、だが………(幸助を肩に手を置いて)とりあえず落ち着いて、まずは敵や作戦について博士に説明してもらおうな? ………というわけで博士、こいつに一から説明してやってくれ。(ヴァナダに)」

ヴァナダ「あぁ、分かった…… レフィアさんも、良いんだね?"あの事"を彼に聞かせても……。」

レフィア「………えぇ、大丈夫。 ………幸助にも、知っておいて欲しいと思うから………私達の、長い因縁を………。」

幸助「・・・?(ヴァナダ達を見て)・・・何か、いろいろ込み合っていそうだな?まぁ、覚悟はしていたけどな・・・ 良いから、さっさと教えてくれよ。一刻も早く、敵について知りたいんだ・・・。」

ヴァナダ「……よし、それじゃぁ皆席についてくれたまえ、長い話になるからね。(そう言って、円卓の席へと戻っていき)………それじゃぁ話そうか。この作戦について、先人類について、そして――――――  私と桐岡家との、長い長い繋がりについてもね。(席に座り、手を組みながら)まずは、我々の倒すべき敵とその因縁について説明していこうか…… 幸助君、君は『旧・カオス文明』ついて聞いたことはあるかな?」

幸助「(・・・長い長い、繋がり・・・?)(ヴァナダの発言が気になりつつも、席について話に耳を傾け)旧・カオス文明・・・ああ、一応知っているよ。小中学校で習う範囲の歴史は、家で勉強していたからな・・・あれだろ?大昔に兵器を使った戦争が盛んだったっていう・・・それがどうかしたのか?」

ヴァナダ「そう、歴史の教科の中でも特に人気が高いことで有名なこの時代―――――(そう言って、懐から歴史の教科書を取り出し、「旧・カオス文明」について書かれたページを開いて)信じられないだろうが、我々と先人類との因縁はこの太古の時代から始まっている……… ここから先は、一般に流通する教科書や文献には一切記されていない、世界政府が長きに亘って秘匿し続けてきた『真実の歴史』だ……… 心して聞いて欲しい。

幸助「・・・!(何だ・・・急に雰囲気が変わった・・・)・・・分かった、話してくれ。」

蒼真「………(席に着き、幸助に目を向けながら)とうとうか……… 流石の幸助も、この話はおったまげるだろうな………。(ヒソヒソとレフィアに耳打ちし)」

レフィア「(席に着き、蒼真の小声に耳を傾け)………私も、そう思う……… けど、問題はその後………。(何処か不安そうな表情を浮かべて)」

蒼真「………あぁ、そうだな……… けど、幸助なら大丈夫だ……… あの時の言葉を、俺は信じてるからな………。(幸助を見て、小さく呟く)」

21

ヴァナダ「それでは、話していこう……… まず、このように一般的な教科書や文献には「この時代ではケイオスの東西南北全ての国々が、各々の利権と存亡を賭けて争っていた時代」という風に記されているよね?確かに、当時の国々が長い間派手に争っていた事は、考古学的調査でも判明している事実ではある……… しかし、だ。(そう言って、教科書を閉じ)実際は文明中期を過ぎたところで人々は戦争を止め、互いに手を取り合っているのだよ。突如として現れた、強大な敵に立ち向かうためにね…… その敵こそが、『ケイオス先人類』だ。」

ヴァナダ「奴らはこの星で最初に生み出された人類の祖先を自称し、我々「現人類」の横暴によって傷つけられていく星を救うという大義名分を掲げて襲い掛かってきた…… しかしその実態は、かつて『闇の世界(ダークワールド)』を創造したとされる、暗黒の神によって選ばれた邪悪なる眷属達の末裔であり…… 地上世界を闇に染めるべくやって来た恐るべき侵略者だったんだ。」

ヴァナダ「奴らは僅か10人足らずの少数でありながら、この世ならざる超常的な力を操り多くの国を攻め滅ぼしていった…… そんな中、西の国のとある科学者が、自国の領土で不思議な力を秘めた石の採れる鉱脈を発見した。科学者の名はレオナルド・ヴァンデリク、この戦いの最大の功労者と謳われる伝説の科学者にて、私の先祖にあたる人物だ…… そして彼の発見した鉱石こそが「カオススピネル」であり、その鉱石の力で戦士たちのアンビションと兵器を強化することによって、人類は奴らに抵抗する術を得た。」

ヴァナダ「程なくして、『カオスレジスタンス』と呼ばれる人類の精鋭部隊が結成され、ヴァンデリク博士はレジスタンスの化学班を指揮する立場に就き、先人類に対抗できる装備と兵器を開発する事で部隊をサポートし続けた…… その中で作られたのが、学校の子供達からも大人気な『ガーディアン』と、最終兵器の試作機である『プシー』、そして…… 最終兵器『オメガ』だ。」

ヴァナダ「それからの先人類との戦いは苛烈を極め、血で血を洗う様な長く壮絶な攻防の末、最後はオメガの力によって遂に全ての先人類を打ち倒し、多くの犠牲を払いながらも人類は勝利を収めた……… しかし、奴らとの戦いはまだ終わってはいない。奴らは暗黒神より授かったその力で幾度も転性を繰り返し、約100年周期でこの世に生を受けては我々人類に牙を向き続けている…… そんな奴らの脅威から地上を守る為、長きに亘って戦い続けているのがこの討伐部隊という訳さ。」

幸助「し、信じられない・・・まさか、そんな事が・・・!(かなり驚いた様子で)しかし、そんなヤバい奴らとの戦い・・・よく今までバレずに済んでいるよな・・・?」

蒼真「そりゃぁ、俺と母さんが所属する特殊諜報部隊が情報を徹底的に操作してるからな…… 先人類の力は、簡単に世界を危機に陥れられるくらい危険なものだ…… 奴らの存在が知れ渡れば、世界中が混乱と恐怖に包まれるだけじゃない。もしあくどい権力者や犯罪組織なんかが嗅ぎ付けようものなら、どれほど恐ろしい事になるか……… 奴らの存在は、絶対に知られてはいけないんだ。(幸助に)」

幸助「そうだったのか・・・2人共、本当にすごいんだな・・・ ところで、さっき博士が繋がりがどうのって言ってたけど・・・もしかして、桐岡家もレジスタンスに関わっていたのか?」

蒼真「流石幸助、鋭いじゃないか…… その通り、桐岡家の先祖は旧・カオス文明においてレジスタンスにスカウトされていた伝説の凄腕忍者でな、先人類の目さえも欺いた隠密技術と特異なアンビションによる戦闘術の数々でレジスタンスを支えてきた主要メンバーの1人だったのさ。俺達桐岡家は、その血と技術…… そして使命を代々受け継いできているんだ。」

ヴァナダ「蒼真君の言う通りだ、私の一族と桐岡家は先祖の時代から共に手を取って奴らと戦ってきた…… 私達がこうして出会ったのも、大昔からの"縁"によって導かれたからと言っても良いだろうね。」

幸助「なるほど・・・ そんな凄い人達に俺は拾われ、こうして同じ使命を共有しているってわけか・・・そう思うと、何かワクワクするな・・・。」

レフィア「……分かる。私も、そんな凄い一族の血を引く人とバディを組んで、結婚して、同じ使命を背負って……… そして、後継ぎの母もやらせてもらっている訳で……… 何か、自分の人生凄いなって思うよね………。(微笑みながら幸助に)」

幸助「あぁ、確かに・・・そんな事、普通無いからな・・・。 とりあえず、敵のルーツや博士たちの関係がわかったのは良いが・・・その敵はどうやって見つけ出してるんだ?転生してるってことは、元の姿とは違うんだろうし・・・。」

ヴァナダ「確かに、先人類の奴らは何の変哲もない普通の人間は勿論の事、小動物や魔物の肉体に生まれ変わることもある…… 判別は非常に困難だ。しかし、我々にはそんな事態を解消するべく開発され、代々受け継いできた宝が2つある…… 1つは、先人類についての詳細なデータが記録されているこのディスク。(黒いフロッピーディスクのような物を懐から取り出して)そしてもう1つ―――――(そう言って、近くにあったリモコンのボタンを押す)」

ウィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン………    ドンッッ(突然、天井から何かをぶら下げたアームが降りて来て、円卓のど真ん中にぶら下げていた物を置く。置かれたのは、円錐台形で直径15〜20cmくらいの大きさをした金属製の物体であり、何故かプリンのカラーリングで塗装されていて、見た目は完全にバケツプリンのオブジェそのものである)

幸助「・・・・・  は?(真剣に説明を聞いていたところに、突如出されたプリン形物体を見て目を丸くし)・・・・何、これ?」

ヴァナダ「これぞ、我ら討伐部隊の要…… 『ヘレティックサーチャー』だ。この装置は、地上世界全域の生命エネルギー反応を観測することが出来る優れものでね、先人類の特異なエーテル波長を感知すると、警報と共にその位置情報を知らせてくれる…… 奴らが地上のどこにいようと追跡できるってわけさ。」

幸助「地上全域だと!?このプリン型の物に、そんな力が・・・ なるほど、これのおかげで幸一郎と明を狙ってる奴の存在に気が付けたってわけか・・・!」

ヴァナダ「その通り…… さっきも言ったように、先人類の奴らは様々な姿で転生をする…… 記憶と力を取り戻して暴れ始めるまで、その存在に気付くことすら出来なかったんだ…… そのせいで人類は何度も後手に回らされ、甚大な被害が後を絶たなかった。この装置は、その事態を憂いた神界の兵団と、ヴァンデリク博士の子孫を中心とした討伐部隊が共同となって開発した、血と汗と涙の結晶ともいえる遺産なのだ。」

蒼真「すっごいだろ?俺も最初聞いた時はたまげたもんさ…… ちなみに、この色は博士が塗ったんだってよ。博士ってプリン好きだからなぁ、そんでこんな形してるもんだからついつい塗りたくなっちまったらしいわ。(幸助に)」

幸助「嘘だろ?先祖代々伝わる遺産にそんな事して良いのかよ・・・(汗)」

レフィア「まぁ、所有権は博士にあるからね…… 多分、良いんじゃないかな?装置に影響はないみたいだし………。」

ヴァナダ「そうそう、そういう事。……そして、これが今回存在を確認した先人類であり、幸一郎君と明ちゃんを狙う不届き者のデータだ。(そう言って、円卓の中心にあるモニターを起動し、画像とデータを映し出す)奴の名は『シェーラ』……… 先人類のメンバーの中でも、特に最低最悪の精神性を秘めた極悪人だ。


画面に映し出されたのは、純白のローブに身を包み、美しい金色の髪と虹色の瞳が目を引く、透き通るような白い肌をした若い女性だった。
一見すると、とても邪悪そうには見えないその女性は、何処となく無邪気な子供のような笑顔を真っ直ぐこちらに向けていた。

まるで、自分が撮られている事を知っているかのように――――