・<元首>
帝国の構成国であるため、国家元首は帝国諸国と同じく現皇帝のサビーネ・パトリツィア・ルートヴィッヒ・フォン・アステシア(モルトラヴィス2世)が務めている。副王にはヌエバ・シチリア副王領のクヌート・ゼバスティアン・フォン・アステシア=アルヴィースが務める。
・<内政>
マカオ危機と台北条約後の帝国による澳門・蘇州併合、これに反対する勢力との蘇州におけるオペレーション・クラルテを経て同地には特別行政区という形で統治機構がおかれた。最も特徴的といえるのは「テミス・システム」による統治制度であろう。珠統区の行政・治安・経済・交通など主要インフラの監視・調整を行っている。
珠統区の首相職に当たる「行政総督」は、テミス・システムおよび行政評議会からの指名で決定され、現在は帝国本土から派遣された文官であるパーシヴァル・エミル・ワイアット(49)が務める。澳門特別行政区と蘇州特別行政区にはそれぞれ行政長官がおり、どちらも現地人でテミス・システムからの適正が良好と認められた者を登用している。
特務職としてテミス・システムの代行者であるテミス・ロングニュが行政補佐に就任しており、行政総督は行政補佐との共同で国家運営を行う。
行政府は統治院庁・治安局・技術総局・生活倫理局・対外調整局の五庁体制を取る。
・<テミス制度>
テミス・システムにより運営される社会制度。テミス・システムに搭載された犯罪係数方程式アルゴリズムによって、精神の状態を数値として記録することが可能になった。これと従来の監視カメラなどによる監視を利用して市民を徹底的に監視する社会が構築された。数値化された精神状態を評価した統合市民共鳴指数(UCRI)を元に、衣食住を決定される。
・統合市民共鳴指数(UCRI)
┗倫理順応性(Ethical Conformity):Themisのルールや倫理指針にどれだけ正確に従っているかを示す。
┗社会接続性(Social Connectivity):他人と良好に関わり、協力的に行動できているか。信頼関係や感情の共鳴が指標になる。
┗市民義務指数(Civic Fulfillment):地域活動への参加、提案や投票、通知への応答など、社会への貢献度を示す。
┗情報衛生度(Cognitive Hygiene):不確かな情報や不安を広めていないか、冷静に物事を受け止められているか。
┗感情安定性(Affective Stability):感情が安定し、一貫性のある行動ができているか。
┗動的共鳴力(Adaptive Resonance):社会やThemisの変化に柔軟に対応できるか。アップデートや新制度への適応力を示す。
┗犯罪係数(Crime Coefficient):人間の潜在的危険性を評価する基準
・<特区条例>
帝国法を基礎としつつ珠統区にて施行されている法律。特区生体恒常認証義務法、公共秩序・生活規範法が代表的な例。その多くがテミス制度に準拠している。
約8,533 km²の狭い領域だが、人口は約1200万人におよび帝国屈指の人口密度を誇る。そのため、耕作地などを確保しにくく鉱産資源に恵まれず、その多くを帝国圏からの輸入に頼っている。
加工貿易の形式をとっており、輸入した原材料を加工して輸出を行っている。代表的なのは機械類だが、「先進技術開発区」としての一面を持つ同地ではサイバネティクス技術、AI技術、半導体産業など先端技術の開発が盛んであり、帝国圏に限って輸出が行われている。
蘇州港は帝国の有するアジア最大の港であり、テミス・システム導入後から自動化が進められ半無人港として運用されており、帝国の貿易拠点となっている。
・<治安>
警察機構は存在せず、代わりにエレナ・ニーナ・アジア・グループ傘下のENノクターン・セキュリティーに委託されている。ノクターン・セキュリティーの部隊がテミス・システムの指示および犯罪係数結果をもとに捕縛・執行を行う。刑務所はなく、代わりとして再教育施設が設置されており一定期間内の再教育プログラムを受講し結果が見られれば社会復帰を認められ、犯罪係数次第ではその場で捕縛されることなく"執行"される。
ノクターン・セキュリティーはほぼ半分が無人化されており、無人機が治安維持任務につくことが多い。珠統区が「実験都市」としての側面を持つがゆえに、治安維持の自動化のテストが行われているためである。
テミス・システム導入以降、治安は劇的に改善し犯罪発生率はほぼ0%に近い。
・<国家安全保障>
軍隊はなく、駐留する帝国軍および副王領軍に頼っている。