「!?」
最悪だ―… 装填不良。
薬莢が薬室へ装填される途中で詰まっている。
高音多湿の環境に長く置いていたからだろうか?
だが、今はそんなことを考えている余裕はない。
エルヴィーン・ロハーチェクは、そう考えながら
急いでスライド後部をぶっ叩いた。
「ロハーチェクさん?」
ライラがスコープから目を外し、小声で聞いてくる。
「畜生、よりによって
このタイミングでジャムりやがった…
おい、速く撃て!」
「…!」
ライラが絶句する。
急いでスコープを覗き直したが、すでに手遅れだった。
その時、ちょうど刘梓萱もライラ達に気づいていた。
それとほぼ同時に反射的に銃口をチェコ兵がいる方向に向け、
銃を横向きにして薙ぎ払うように発砲する。
「ようやく出てきやがったな、この野郎!」
「畜生… あの野郎気づきやがった!
遮蔽物に退避しろ、急げ!」
そう言いながら、チャーリー1達が急いで後退していく。
「おい、釘付けにするぞ! 撃て!」
既に遮蔽物に退避していたラドヴァン・シュチェルバとミレナ・レヴァーが、
友軍の撤退を支援するために短機関銃で制圧射撃を始めた。
一方で刘梓萱は、それを見越したように瞬時に前に向かって跳びー
…二人を飛び越えた。
ラドヴァンが即座に振り向いて撃ちまくったが、
刘梓萱も同様に拳銃を数発発砲してすぐさま横へ飛んだ。
「あだぁ!」
ミレナ・レヴァーが脇腹に被弾し、
痛みで絶叫した。
「ラドヴァンさん、彼女を後方へ!
チャーリーチームは4名を掩護に!」
その声を聴いて、
ライラ・ニーニコスキが即座に命令し、
ラドヴァン・シュチェルバがほぼ同時に答える。
「ああ、分かってるよ!」
そう言いながらミレナ・レヴァーを掴み、
急いで後退し始めた。
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