「おい、俺はどうすりゃいい!?」
エルヴィーンがスコープから目を離してライラに聞く。
「そこから味方の援護を!」
「了解!」
そう答えて、エルヴィーン・ロハーチェクは
再びスコープを覗こうとした。
それと同じタイミングで、
ライラはサイドアームのcz.72を腰から引き抜いて
目の前に向かって真っすぐ構える。
「おい、どこへ行く気だ!?」
それを見て、スコープを覗きかけていたエルヴィーンが驚いた。
「彼女を援護しに行きます!」
そう言って、ライラは走り出した。
…彼女は絶対に生きて返す。そう思いながら。
「おい、嬢ちゃん! こんな所で死ぬなよ!」
4人の兵士に援護されながら、
ラドヴァンが被弾したミレナ・レヴァーを、
エルヴィーンがいる方向へと引きずっていく。
「奴はどっから来るんだ!?」
「知るかよ! 自分の目と暗視装置に聞け!」
周りでは、護衛の兵士たちが銃をバースト撃ちしながら
そこら中に弾幕を張っていた。
いるかいないのかも分からないが、
少なくとも何もしないよりははるかにマシだ。
「大丈夫だよね? 死なないよね?」
「ああ、安心しろ!
出血は少ない、まだ十分助かる見込みはある!」
そう元気づけながら、少しずつ後退していった。
「いいか、奴を包囲しろ!
囲んで撃ちゃあ、あの野郎も避けられねえんだ!」
一方、デニス・シュルツはそう指示を出しながら、
グエン・ヴァン・クアンやチャン・バー・ビエン、
そして残りの強襲チームの兵と共に
彼女が先ほど飛んでいった方向に展開していった。
もちろん、ありったけの火力を前方に向かって投射しながら。
銃の閃光であの野郎はよく見えないが、
逆にこれだけの弾幕を潜り抜けられる奴は存在しない。
…奴がくたばるのも、時間の問題だな。
デニス・シュルツはそう思っていたが、その考えは一瞬で覆された。