ダイバー1「観測班はこのまま古代都市全域の監視にあたれ、散歩班は直接目視に向かう。」
ダイバーズは再び奈落の底へ向かう。
105mmや155mmの榴弾に地対地ミサイルなどを満遍なく大量に撃ち込まれ、投射物が生み出した煙幕に包まれた古代都市は、もはや荒廃した遺跡と化していた。先程まであったその美しさと不気味は失われ、見るも無惨な瓦礫の山となっている。この差がまさにゲートから出てきた"現代"と古代都市の境目を作っていた。
ダイバー1「…よし、これから捜索に移る。各員散開し手分けしてあたれ。」
……歩けば歩くほど、粉塵の中を進めば進むほど、その光景はより酷い物となってその目に映る。壁に滲み出た血の滲み、外傷の酷い腐敗が進んだ死体。極めつけには、ダイバーズの隊服と思われる服を着た下半身だけの死体。以前のオペレーションDDDの時の者だろう。
ダイバー1「これは……」
その死体は上半身が無く、大きなクレーターに滲みた血溜まりがあることから恐らく…
ダイバー3「ダイバー8か……」
“ウォーデン”の圧倒的な膂力によって踏まれるとこうなる事を身を以て証明してくれた。
その近くにいるのは左腕を潰されながらも、数ある死体の中で状態の良い物…”元”ダイバー4の死体である。
ダイバー1「命を懸けて我々を生かしてくれた英雄だ…。彼らの想いを無駄にはできない。」
ダイバー5「…はい…そうですね。」
彼らが行方不明者について話している間…周囲の警戒をしていた者はあるものを発見する。
ダイバー2「隊長。こちらに来て下さい!」
ダイバー1「どうした?」
粉塵と瓦礫の中、まるで地中から生えてきたかのように"出てきたのは無傷のスカルクシュリーカー"である。周りには破壊された"スカルクシュリーカー"があるのに関わらずだ...。
ダイバー2「...まだ、破壊できてないということか...」
大部分は破壊に成功したがまだ無傷の"スカルクシュリーカー"がある...これが示すのは怪物が召喚される可能性が高いということだ。
あの轟音でコイツが起動するなといったほうが無難ではあるが。
オペレーター「ダイバー1、状況を説明してください。」
ダイバー1「こちらダイバー1よりCP。対象の完全破壊に失敗、ポイントを更新。防衛ラインまで撤退し、Phase3:対"アバドン"戦闘プロトコルに移行する。展開部隊に伝え…!?」
作戦は順調ではなくなってしまったが嘆いてる暇は無い。冷静に部隊長として指示を出す。
そして...その可能性は最悪な状況で現実となる。
"コポ...コポポポポ....?コポポ..."
ダイバー2「...!?止まれ!!この音は...聞いたことがある...!」
ダイバー3「…まさか...」
おおよそ生物の発声器官からは鳴ることのない特徴的な"鳴き声"、撤退を急ぐダイバーズの目の前に一つの影が映る。粉塵に映る影は...おおよそ人の形から逸脱している。
地獄の封印は解かれ、賽は投げられてしまった。
ダイバー1「...お出ましだ。」
物音と共に現実の位相へと"奴"が姿を現す…。
深い紺色の体、目のないのっぺりとした顔に生える2本の角、胸に開けた大きな口……
以前のダイバーズをほぼ壊滅させた仇敵。
古代の伝記に書かれた怪物、"ウォーデン"が再びその姿を現したのであった。