冷たい雨が、都市の滑らかな床面を静かに濡らしていた。
群衆の足音と無機質な広告音声が、透明な傘の下に反響する。
『――注意。付近に潜在犯を検知しました。区域封鎖を開始します――』
警報は感情を含まず、だが確実に人々の鼓膜に届いた。
国境検問所まで数百メートルを前に、男がひとり立ち尽くしていた。
年齢は三十前後。作業服。手には何も持っていない。
ただ、その額の上に浮かぶホログラム数字が、すべてを語っていた。
【犯罪係数：312】
「……潜在犯。犯罪係数300超過。執行対象を確認」
武装したHEGO隊員とKR27数機がゆっくりと歩み出る。
手にはテミス・システムのロゴがプリントされた軍用銃を持ち銃口はしっかりと男を狙っている。
『テミス・システムより回答します。対象を速やかに排除してください』
男は言葉にならない呻きを漏らし、手を上げた。
「待ってくれ……何も、していない……ただ怒って……仕事で……。そうだ、この世界はおかしいんだ！あんただってそうだろ！？世界を見てみろ！！こんな…、こんなにひどい体制があってたまるか！」
「更生の余地なし。この都市ではテミス・システムが法であり全てだ。」
彼は表情を動かさず、ほんの少し、引き金に指をかけた。
パンッ――
眩い閃光。
肉体が一瞬、熱と衝撃の中で形を失い、空中に崩れた。
群衆は悲鳴もあげず、ただ視線を伏せ、何もなかったかのように日常生活へと戻る。
そんな光景も気にすることのないKR27は死体の周りに集まると停止線のホログラムを形成した。
『こちらはHEGOです。執行現場には近づかないでくださいーー、繰り返します』
握られた銃火器が自動的に沈黙する。
『対象、排除完了。区域内、再スキャン中。…ストレス値の上昇なし。トリガーをロックします。あと2分13秒で死体対応班が到着します。それまで警備任務を遂行してください』
地面に残る焼け跡と灰が、どこか風景の一部のようだった。
蘇州特別行政区での日常。警官が使うのはドミネーターではなく測定機能付きの軍用銃(plzとかIFAシリーズあたり)。
クォれは自由の番犬が許しませんよ()
私の行きたくない国家ランキング堂々の第5位蘇州特別行政区
これでも第5位なの草
逆に一位は何なんだ()
ガザ