『ボギーとの接触までまもなく』
2025年5月。
青く澄みわたった烈国の空を、赤い星を掲げる二匹の鳥が飛んでいる。何故か己の巣を抜け出して、異国の空へ羽ばたいた。
「レーダーに感。4時の方向より2機の飛行物体」
「そらまあ、来ないわけないわな」
しばらくすると、示した通りの方向から烈国所属と思しき航空機が接近してきた。…が、何かおかしい。キャノピーがないのである。
「うわ、あいつらこういうことにも無人機を使ってやがるのかよ…」
自律飛行する無人機はやがて2機の後ろへ回り、プロトコル通り退去を促す音声を発した。
«領空を侵犯している。速やかに領空外へ退去せよ。»
ーーー
«Они нарушают наше воздушное пространство. Пожалуйста, немедленно покиньте наше воздушное пространство.»
いかにも機械が発したような、冷たい声だった。
だが、2匹の鳥は依然己の道を進んでいる。
『ボギーは警告を無視しており、退去する様子はありません』
『もう一度警告し、それでも従わなければ威嚇射撃を実行』
しばらくして、無人機が再び音声を発した。
«領空を侵犯している。速やかに領空外へ退去せよ。退去しない場合、然るべき措置をとる。»
ーー
«Они нарушают наше воздушное пространство. Пожалуйста, немедленно покиньте наше воздушное пространство. Если вы не уйдете, будут приняты соответствующие меры.»
相変わらず冷たい声が機内に響くが、1回目とは違う。少し口調が強いような、まさに「警告」といった音声だった。
二度目の警告の後、これ以上いる意味がないと判断したのかはたまた怖じ気づいたか、ようやく2機のジナビア機「Sy-55」は北方へ進路を変えて自分たちの巣へ戻っていった。
ぎりぎり土日で間に合いました…()
唐揚げさん、茶番に付き合ってありがとうございます!!
いえいえこちらこそ!!楽しかったです!!