榊貞一は、日の前に座っている大勢を見渡し、誇らしげな表情を心から浮かべた。みんな揃っている、一目でわかる。全部で203人、みんなきちんとした身なりで、期待に満ちた眼差しで彼を見ている……、いや、彼を見上げているのだ。新たなる広東国の未来を担う新しい中核である立法会に、優秀中の優秀な人材が集まっているのだ。
「紳士淑女の皆さん、わた……」
彼は日に何かが滲み出るのを感じたが、すぐに無理やり自分を押しとどめた。こんな時に些細な感情移入は禁物だぞ、榊。
「長い間、私たちは傍観者の地位に押しやられ、連合王国の命令に従うことに歯を食いしばって我援することを強いられてきました。ですが、もうその必要はありません!チップからチップへ、トランジスタからトランジスタへ、親愛なる友人である皆さんは広東の未来のために勤勉さと輝きで奮闘し、勝利したのです。そして、そのことに私は感謝の言葉を述べたいと思います」
拍手喝采。
「しかし、皆さんにお訊ねします」
彼がマイクに向かって声を轟かせると、食堂は静まり返った。
「私たちの仕事は終わったのでしょうか? いいえ!私たちの死を望む無能、愚者、臆病者は未だにこの国の至る所に存在します。他の誰にも真似できない運命の開拓者である私たちは、彼らのレベルまで身を落とすべきではないし、落とすつもりもありません」
知らず知らずのうちに、彼の喉から目に向けて熱さは込み上げていっていた。
「よって、ここに発表します、4K有機ELテレビTV-258Kは今後335日間で、あと600台生産される予定です。皆さん、才能と卓越性の復権と、その先に待ち受ける啓蒙にご期待ください!」
知らず知らずのうちに、 彼の目の中の雫はさらに膨らんでいた。
「友よ!志を高く持て!君たちには全力を尽くすしかないのだから!」
そして、203人分の拍手の波が彼に押し寄せたとき、榊はようやく自分の頬を伝うものが何であるかを知った。涙である。かつて香港で共に戦い、ずっと前に失った友への涙である。榊はその友人から自分たちは全力を尽くすしかない、と言われた。「福祉」とか、「寛容」とか、そんな感情的でくだらないものでなく、本当に優れたものを信じていた友へだ。
しかし、残念なことにその翁敬黎は死んだ。かつて彼らが勤めていたルコラと一緒に死んでしまったのだ。