コンゴ民主共和国西部のとある小高い丘の頂上。5両のドラグーンICVが展開し、渡河作戦中の海兵隊第1戦車大隊を見守っていた。
隊長車の砲塔上部ハッチからは二人の兵士が上半身を乗り出している。
『現在有志連合軍による作戦が展開されているコンゴ民主共和国では、戦闘が地上へ移行する段階に差し掛かっており…』
車長の男はスマートフォンでニュースを眺め、砲手の男は双眼鏡で川と浮橋、沿岸の畑で待機する戦車たちを見ていた。湿った風が装甲を撫で付け、装輪の間を通り抜ける。
「この戦争、いつまで続くんですかね。1年前の今頃じゃ、みんなイラクで大騒ぎだったのに」
砲手は双眼鏡から疲れた目を離し、自らの上官を見る。
「みんな、新しい戦争と資源が大好きなのさ。特に、政治家は資源が大好きだ。HCOやSEIVとの交渉材料にココの金やら銀やらを持ち出してるって話だし、いつかは石油に手を出すだろうよ」
車長が呆れたように手をぶらぶらと振る。双眼鏡に視界を戻した砲手は小さく唸った。
「200mあたり1ℓの石油を撒き散らして経済をぶん回す、それがうちの国だ。やめようもんならユニオンが黙ってねぇだろ。A2IやIFAもでけぇ会社だがアレには及ばねぇ。結局、この戦争もカネだよ、カネ」
「もっとマシなもののために戦っていると思いたいですね…ん?」
ふと、視界の端に何かが映る。浮橋のすぐ真横、水面に人の頭が見えた。シュノーケリングした人間のように見える。
「まさか、」
MG6B機関銃に手を伸ばそうとしたところ、爆音と共に水柱が浮橋を飲み込んだ。車長がスマホを車内に放り投げて悪態をつく。
「なんだぁクソ!」
車長が砲塔内の無線機を手に取った。事態は刻一刻と変化する。
「中隊長より全車、これより戦車大隊の救援に向かう」
動き出す中隊車両の向こう岸では、M1クレイトンが高速で接近するピックアップに対応していた。
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