とりゆっけ
補助龍 6641dc4fb6
2025/05/21 (水) 21:46:52
いくらロンドンとはいえ、深夜になれば、静寂が広がるのは確かだ。テムズハウスには数名の警備員が巡回していることを除いてほぼ誰もいなかった。時計は既に12時を過ぎている。大半の職員は既に帰宅している。それでもミア・ゴウは1人小さなライトで執務室を微かに照らしながら、作業を続けていた。
「デイヴィッド・キャメロン - ナショナル・アクション準軍事組織所属、終身刑」
「ジョー・カニング - 国民党党員、逮捕」
「マーカス・ヒース - 元IRA隊員、死刑」
ひたすらに見定め、許可をし続け、指示を出す。それらの仕事は彼女にとっては興味のないどうでもいいことの一つであったが、そんなことを思いながらも彼女は決して手は抜かなかった。考えるにおそらく特別に理由はない。国家のため、司法のため、正義のため。彼女にとってそのような事をしてそれらに何か良い影響を与えるかどうかを見出せなかっただけなのだ。
眠気を残り少ない紅茶でなんとか誤魔化しながら、彼女は仕事を続けていた。時計を覗くと、もう3時を過ぎている。もうしばらく続ければ日の出を拝む事も出来るだろう。それでもやっぱり彼女の手と脳が動くのを中断することは決してなかった。今やナチやファシストなどによりこの国の司法と正義は脅かされている。しかし、彼らが勝利することは決してない。次から次へと正義を語る悪が真の正義により検挙されその処遇が彼女の手により極秘裏に採択されていく中で、彼女はそう確信していた。
深淵を覗く時。
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