あーねむ
副管理人(再雇用) b92cc25641
2025/05/29 (木) 19:44:56
初めて引き金を引いた時を覚えている。7歳の時、父と祖父が突然去った母の話で喧嘩になった。キッチンを挟みながらの軽い口論だったと言うのに、いつの間にか一触即発の掴み合いになっていた。
ふと、祖父が22口径の拳銃を取り出した。父は狼狽えるばかりだったが、祖父は怒りに任せて引き金を引き切った。初めて聞く乾いた発砲音に、私は全身を震わせるばかり。父の体がフローリングに転がる音で我に帰った私は、彼が愛していた12ゲージを手に取る。チューブ内に仕込まれていた違法なフレシェットを薬室に送ると、祖父が震えた声を出した。「それは危ないものだ。下に置くんだよ、__」
人生で最もコンバットハイを感じたのはこの時だったかもしれない。素質、というものか。
「名前を呼ぶな、死ね」
ーーーーーー
「んぁ…?」
暖かな陽光が瞼越しに瞳を照らす。嫌でも覚醒した脳は私に朝食を食べるように指示を出してきた。寝る前と違った、背中を包むふかふかとした心地よい感覚に違和感を覚える。体に乗っていたサングラスを掛け、体重を横へ移動。
「おはよう、魔女様は目覚めが悪いようだな」
「いつもの事さ。気にすることはない…と、ソファで寝ていた気がするんだが、これは?」
「彼女が運んだんだ」
仮眠室から出た私を迎えたのは、デスクでキーボードを叩く彼女『アリシア』。と、見慣れた私の部下一人。ベッドへ私を運んだという張本人は得意げに笑っている。
「それは悪いことをした、感謝するよ。アリシアくんも
どうだかなと、彼女は軽く微笑んで返す。アフリカも、パナマも、イラクも、アメリカも、この瞬間だけは遠いような気がした。
通報 ...