山の中は昨日の雨で足場が悪く、強い自然の匂いを漂わせていた。
特災情報課に務める古村は心臓を締め付けるような威圧感に耐えながらメモ帳に情報を書き込んでいた。
「貴様らが黒鬼と呼ぶアレについて我が知ることはない。我はすべてを知るわけではない、長い年月で見てきたものを知っているだけだ」
岩に巻き付きながらこちらを見下ろす灰色の大蛇は、生ぬるい息を吐きながら古村に向けてそう言った。今週5体目となる無駄に威圧感にあふれた怪物たちへの聞き込みは確実に古村の胃に致命的なダメージを与えていた。
「...なんでもいいです。あれに似たやつや噂でもなんでも、些細なことでもいいんです」
「そもそも調査をするにしても場所を間違えているだろう。アレについて聞くなら奥羽...東北でするべきだろう」
「なぜ東北?アレと東北は何か関係があるのですか?」
「...? そうか、貴様らは知らないのか。アレの特徴は東北にある古い鬼の族にあるものだ。今はもう絶えただろうが少し前まではいくつかの集落を築いていた」
資料室で見た資料に黒鬼の出自は書かれていなかった。東北地方の鬼は様々な族に枝分かれし現在はその半数も残っていない、資料に残る前に消えた部族だとしてもおかしくはない。ただ東北地方はすでに聞き込みが完了した地域であり有益な情報は得られずに終わっている。
これ以上この大蛇は情報を持たないだろう。東北で発生した可能性について聞けただけでも大収穫だ。
「そうですか、ではこれにて失礼いたします。ご協力ありがとうございました」
山道を下りながら考える。今まで集まった情報では出現場所を予測することも有効な対処法も編み出すことができない。
ふと何かが見えた。薄い青色の髪、なにかが見ている。ただ怖い。足早に山を下り車に乗る。
帰り道に山で見えたものを思い出す。化け物には化け物をぶつけるしかないのだろうか。
灰色の大蛇:灰色の大蛇。岩のような鱗を持つ。日本に生息する大蛇の一体。しゃべる。
古村:特災情報課の職員。情報の整理・分析と収集が仕事。ここ最近ずっと圧力がすごい鬼の偉い人や大蛇と話してたため腹痛を発症した。
薄い青色の髪:通りすがりの竜。知り合いの大蛇を見に来ただけ。
龍!!!
ヤバィゾォ()
龍の発作ダァ
鎮静剤持ってきて‼︎!
龍を見ると発作が出るという世にも珍しい病
これは草