「はアアアアアアア、、、、、、」
”珍しく”彼女はため息をつく。それも当然だろう、せっかくの休暇が急な召集で潰れてしまったのだ。無理もない。
グラグラと揺れる視線を命令書に向け、心を落ち着かせる様にして目を通す。
「合衆国国内に侵入が確認された人外2名の捕獲」
命令は非常に明快。彼女の能力的にも、全くもって造作のない事だったが、今日は違った。
「もうさあ、、、、殺しちゃおうかしら、、、、、、」
心に湧き出た言葉がコップからこぼれた水のように口からこぼれていく。今回の任務は珍しく一人で遂行する。周りに同業者はいない。もう、いっそのこと、、、そう思い始めた時だった。
聞きなれない発音の会話、、、、、
ペストマスクをかぶった変人と、もう一人、竜人だ。
「とっとと終わらせて、、マカロン食べますか、、」
意思を固めるように息を大きく吸い込む
上司への言い訳と、報告書への言い訳二つを考えながら、”武器庫”からアサルトライフルを取り出し、静かに射撃姿勢を取る。
カチリ
のどかな風景とは不釣り合いな、人工の風切り音が空気を引き裂いた。
吹き飛ぶ対象の腕、ペストマスクの方を射撃されたのを察知したもう一人が、ペストマスクを連れて逃げるそぶりを見せる。
龍人の方に銃口を向け、、、しかし目を見開いた。
血が出ていない、ペストマスクの素振りからも焦りも動揺も感じられない、今まで銃弾がそもそも貫通しない、出血しても問題ない、、というのは見たことがあるが、出血しないのは初めて見る。
ならば、、、、
武器庫から新たな武器を出す。腕を吹き飛ばされても問題ないのであれば、身体そのものを轢断して、内部から焼き払ってしまえばいい。ロングソードを顕現させながら、ゆっくりと二人に近づく。
ペストマスクの肩に、吹き飛ばした腕だったものが戻り、数本の触手として再生する。
もはや驚きもせず、一気に距離を詰め、ペストマスクの脳幹目掛けてソードを振り落とした。
次はリバさんか…?