とりゆっけ
補助龍 6641dc4fb6
2025/06/14 (土) 11:55:08
「ーだからこそ、我々は自身の祖先が維持してきた愛すべき土地を守るための努力をしなければならないのだ!」
演壇に立つウォリックの様子は変わらず、まるで自身が最後のアングロ・サクソン人かのように群衆に向け声高に訴えかける。国民党が体たらくにより解体されしまった今、彼には夢があり、それの実現のためには支持者が必要だ。
英国独立党。それはまさに夢のように理想的な構想だった。アジア人、黒人などの人種から英国を独立した唯一の国家とする。彼が言葉を放つたびに群衆は彼により、徐々に勢い付いた。素晴らしい。これが国家のあるべき姿だ。
若い純粋なアングロ・サクソン人がそれぞれ自身も白い肌を擦り合わせながら、その高潔な魂を高揚させる。腕を振り上げ、なおも彼は声を上げて改正公民権法の欠陥を指摘する。邪悪が牙を剥いた。
パン
腹部と胸部に内臓に直接パンチを加えられたような痛みが走ると、彼は悲鳴を上げる間もなく演壇から崩れる。血液と脊髄液の混合物が滴るのを防ぐためなんとか手で押さえつけていたが、下半身になんの感触もない。若者が男たちに捕らえられ格闘する様子が見えるも、彼にはもうどうでも良かった。彼が見たのは、妻が彼に寄り添って必死な声を浴びせる姿のみだった。
暴君は常にかくの如し。
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