ハーヴィ・ホワイトは新聞を取り乱雑に広げそれを読み始めた。「レイフ・エドワード・ハリソン暗殺」?やっとあのファシストが死んだのか、清々する。右派の連中が1人づつ死んでいくなかで、彼は演説の合間のこの短い時間を楽しんでいた。
扉が開かれると、そこにはコナーがいた。書記長から退いた今、彼と親しい少ない人間の1人。彼の後ろには数人の男たちがいたようにも思えたが、扉が閉じると同時に見えなくなった。
軽い挨拶を済ませ、コナーが椅子に座ると話を始める。
「ハーヴィ、ここに来る前、変なやつは居なかったか?スーツを着た男が1人…」
思い受けべ、軽くうなづく、それがどうしたと。
「さっき彼らに話しかけられたんだ。この頃この国は不安定で、再びバランスを保ってやる必要があったとな」
「そしてその一方で不安定な状況を望むような者もいる」
「そのうちの1人は君だととも」
ハーヴィには言っている内容が理解出来なかった。なぜこんな話をする?
「…すまない、許してくれハーヴィ」
立ち上がると、哀れみの表情を浮かべこちらを見つめる。
「私は君を尊敬していた。だが彼らが妻を脅している以上…」
コナーがコートに手を突っ込み、何かを取り出す。ハーヴィはそれに気づくと異常なほどの寒気を感じたが、彼を止める気は起きなかった。
「こうするほか無かったんだ」
英雄としてではなく生贄として。
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