あーねむ
副管理人(再雇用) b92cc25641
2025/06/17 (火) 15:41:03
【記録開始 - 06:42 AM / 軍事セクション第8会議室】
(微かに椅子が軋む音。誰かがコーヒーを啜る)
「ようこそ、オリエンテーションへ。テーブルのドーナツとコーヒーは自由にどうぞ。……ああ、そこの赤いネクタイの君。似合ってるよ。緊張しなくていい、ここはもう“向こう側”だからね。」
(小さな笑い声)
「さて。君たちは、晴れてこの部門に配属された。選ばれた人材だよ。IQが高かろうが、軍歴があろうが、倫理観が地に堕ちていようが──それは二の次だ。重要なのは、“理解する気があるかどうか”なんだ。」
(紙がめくられる音)
「じゃあ質問だ。この世界において『テクスト』という言葉の意味を挙げてくれ。誰でもいい。……うん、そこの君。『文書のこと』?正解。でも──それは表面の話だ。」
「この部門では、『テクスト』とは存在の記述を意味する。神話、信仰、呪術、国家観念、民間伝承、恐怖、愛。すべては物語として綴られる。言葉が存在を定義する。だからこそ、我々は祈念弾頭なんてバカげたものを真面目に撃ち出す羽目になる。」
「ある敵は、生物でも機械でもなく、語られた物語そのものなんだ。口裂け女と出会ったことはあるか? ないだろう。だが、誰もが知っている。あれは存在している。語られているからな。」
「逆に言えば、君たちが語らなければ、存在しない。撃ち込まれた意味が、やつらの記述を上書きする──それが我々の戦い方だ。」
「そういうわけで。現場では、ただの.45ACPじゃ意味がない。言葉を込める。意味を選ぶ。存在を削り取る銃弾を準備しろ。──ああ、コーヒーが切れたな。補充しておいてくれ。」
(椅子が引かれる音)
「ようこそ。“語られた戦場”へ。」
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