とりゆっけ
補助龍 6641dc4fb6
2025/06/27 (金) 14:51:28
MI5が手綱を握る警察がこの街を覆う。市民はこの国の混沌に自分は関係ないということを知りながらも、あえて自分の家の中に閉じこもりこれが終わるのを待っていた。雨が弱まり黒い雲が太陽光を間接照明のように薄暗く照射する。トラファルガー広場、幾度となく政治集会の舞台となってきたこの場所に1人の男が居た。
白髪に帽子とコートを身に付けていた彼は誰から見てもどこにでもいるような孤独な老人の一人であると認識できる様子だった。そして彼は設置されたピアノを撫で、椅子に腰掛けると一から二分程度鍵盤を叩き調子を取り戻すように、簡単な曲を演奏した。
警官が静かに彼を見つめる。数少ない外を歩く市民が彼のピアノの近づく。その音色は魅力的だった。気付いた時には集まる人々は十人少々にまで増えていた。
そして彼らは歌詞の意味と今を照らし合わせた。
歌声は大きくなる。そして力強く、悲鳴のように。
自由を見いだし給う九女神
汝の幸福のため浜辺を整えり
ああ聖なる島よ!無比の美を冠し
正義を守る雄々しき心を秘めた
統べよ、ブリタニア!大海原を統治せよ
ブリトンは断じて、断じて、断じて、奴隷とはならじ
そして静寂が広がる
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