一瞬だった、爆弾のように降下し大剣を振りかざすアーサーを独立した生き物のように襲いかかる触手がそれを瞬時に弾き飛ばす。
なんとか体勢を戻し地面に着地すると、光と共に大剣を格納し、レイピアを取り出す。その一つ一つの動作を“彼女”はマスクの内側から純粋無垢に見つめる。その隙を見逃さずアーサーは接近して躊躇いもなく頭を貫いた。
感触が少ない。頭蓋骨や脳に当たった感じが全くしない。まるで粘土に刺すかのような、曖昧さ。一瞬だけ、マスクの内側からこちらを覗くのを見る。
『あなた…一体何者?』
深かった、まるで深海のように。確かに女性の顔つきであったが、間違いなく人間ではない。それは本当に未知で、一体何がこちらを覗いているのか全くわからない。あの瞳孔の動きがアーサーを引き込むように揺れ動く。
こんなことになるのなら龍人のほうからやっておけば…、いやそもそもこんな仕事受けなければよかった。なんとか終わった後の自分への褒美を考えて呆れる感情を抑えようとするが、それすらも面倒に感じられてきた。
正直言ってここまでのやつだとは思いもしなかった。まさかこんなのが海外に居たとは…。終わった後にあれこれ報告する手間と、これだけじゃなくて龍人の方もいたのを考えてみれば今後はより面倒な相手と遭遇する可能性もある。最近までの平穏を考えると先が思いやられた。はぁ…
せめて龍人の方はこれより大人しいか、すぐやられてくれればいいのに。
レイピアに“彼女”の触手が巻き付く、引き抜くとともに一部が千切れ、レイピアにこびりつくが気にも留めず再び大剣を取り出すが振り下ろそうとした瞬間に“彼女”が止めた。
手に刃が食い込む。指間腔が裂けるが血の一滴も出ない。
「どうやってそれを持ち替えている?」
『貴方に言うようなことじゃない』
アーサーの手に触手が突進し、剣が宙を舞う。
その瞬間、隙を見逃さず続けて“彼女”が触手を放つ。いくつかがアーサーの手を貫き血が滴る。割れかけのペストマスクが紅く染まった。
「怪獣バトルだ!こりゃ大人しく観戦してるしかないな〜!」
待たせたな!!!(激遅許せ)ルェンは消えました。多分後で出るから大丈夫。
久々にルェンさんとお手合わせさせて見たい自分がいる()
続きを書きます()