ウルグアイ
2025/07/17 (木) 17:00:44
be4eb@144e0
オルドーニェスの庭②
アイスティーの入ったウルグアイ独立190周年カップを二つ、カロリーナは家の外に設置してある4人用の金属製の机に持ってきた。陶器と金属の当たる音が私にコップが机に置かれたことを知らせた。
「どうぞ、お飲みください」
カロリーナはそう言うと、自分のコップを机に置き席についた。そして、鞄から数枚の紙を取り出して私に見せた。
「こちら、今後の外交方針についての報告書です」
それだけ言うと、彼女はアイスティーを飲み干してしまった。一方で、紙をもらったオルドーニェスは、お茶に手をつけず報告書をただただじっと読んでいた。3枚目を読み始めてしばらくしてオルドーニェスの手が止まる。
「困ったものだな」
私は苦々しい顔をしてそう言った。私が読んでいたのは、外国へのウルグアイ国民の知識、関心の調査報告書であった。調査報告書は、国民の外国への関心の低さを示していた。特に、若者の外国への知識、関心が非常に低い、外交の最大の悩みがそこにあった。
長きにわたる独裁は、国民の外国への知識を失わせた。その結果、私の同盟関係を重視する外交政策は国民の興味を失った。私を支持しているのは資本家と一部の知識人のみだ。大半の農民や労働者は労働党の自給自足的な生活のほうが良いらしい。
「大統領も、労働党と似たような自給自足的な政策を行えばいいんじゃないですか。先進国という夢をあきらめて」
カロリーナは私の考えていることを見透かして言った。私は何も言わなかった。発展途上国が発展した例の大半は独裁だ。民主主義は発展途上国にとって繊細で脆弱すぎるのだろうか。私は結論が出せなかった。
オルドーニェスは、紅茶を一口口に含むと、もう一度草むらへ向かっていった。
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先輩、(茶番)好きっす!