午前6時、キャンプ・アギナルドの総司令部は張り詰めた空気に包まれていた。司令室の外では、迫撃砲による損壊の修復作業に工兵たちが奔走している。室内では16師団と17旅団の団長、そして駐留軍司令長官らがディスプレイに映し出された状況図を重い表情で見つめていた。
「現在確認されている敵の配置は以下の通りです。マニラ市内に小隊規模、ゼネラル・ナカには7個以上の小隊、ナガ・シティに2個大隊、ビサヤ諸島の主要都市にはそれぞれ1個大隊、ミンダナオ島北部には2個連隊。そして、レイテ島では一部の正規軍兵士による離反が確認されています」 「司令長官、市内の状況は?」
「攻撃発生から数十分以内に警務隊が出動し、実行犯の確保に成功した。現在はフィリピン即応部隊が市の出口を封鎖して逃亡を防いでいる」
旅団長は冷静な口調で質問を重ね、師団長は沈痛な面持ちで状況図の警務隊の駒を見つめていた。人民軍による同時多発テロの被害は広く、一部の駐屯地では火災の影響で戦闘態勢の構築が遅れている。 師団長が口を開こうとした瞬間、司令室のドアが勢いよく押し開けられた。
「おやおやおや。市内のテロリストすらろくに捕まえられない皆さんお揃いですね」
「ノックをしてから入ってきてくれ、長井二佐」
気色の悪い笑みを浮かべて入室した長井は、室内の面々を一人ひとり見渡した後、報告を始めた。
「司令長官、ご報告いたします。駐留軍内の内通者のリスト化が完了しました。いつでも粛清可能です」
「では、直ちに実行せよ」
「仰せのままに」
その言葉を合図に、警務隊員が次々と司令室へ入り、数名の司令要員と顔面蒼白の師団長を拘束して連れ去った。 司令長官と旅団長は、連行されていく師団長に冷ややかな視線を送りながら、再び口を開く。
「第16師団内の内通者はどれほどいる?」
「現在までに確実なのは194名。そのうち士官が61名です。残りは引き続き調査中です。また、第17旅団についてはまだ捜査が進んでいませんが、12名の関与が判明しています」
「第17旅団は後回しだ。今の戦力を削るわけにはいかない」
「報告します。第2戦闘偵察連隊および第17旅団の戦闘準備が完了しました」
状況図の駒がゆっくりと動き出した
第16師団師団長:人民軍に協力し武器流してたので逮捕された。ばいばい
戦況:海兵隊第2戦闘偵察連隊と陸軍第17旅団の即応部隊が戦闘態勢を整え展開を開始、人民軍はマニラ市東側のゼネラル・ナカと南部のナガ・シティからマニラ市に向けて進軍を行っている。