「.45APC弾がきっちり12発。
やってみろよ、クソ野郎」
そう言いながらCz25大型自動拳銃を
即座に構え、胸に銃弾を2発ぶち込んだ。
男は信じられないという目つきで立ち止まり、
そのままよろけながら地面に倒れる。
それを見て、周りにいた3人のギャング達が後ずさった。
さらに続けざまに真上へと一発だけ銃を派手にぶっ放すと、
そのまま三人は口々にわめきながら逃げていった。
その光景を見て、サミュエルが一言呟いた。
「ま、別に深追いする理由もないか。
うっかり怪我なんてして、彼女の前で出血シーンを
見せるわけにゃいかんからな…」
さて、視点を彼女に戻す。
何はともあれ、無事に駐在所まで
たどり着いた彼女の目の前には
海南武警所属の車両が大量に止まっていた。
先導用の半装機バイクや装脚戦車まで、
とんでもない数の車列が待機している。
「た、助けてください!」
「何だ、どうした!?」
「は、犯罪者に誘拐されかけて…」
息切れしていたが、とにかく不安を口から吐き出したかった。
起こったことをどうにか海南武警の人に説明する。
「…そうか、頑張ったな。
後はこっちで対応するから、氏名と連絡先を教えてくれ」
「名前は倉田朝羽、連絡先は…」
そうやり取りする彼女の後ろ姿を、
一人の中年男性― サミュエル・カヴァナーが
煙草に火を付けながらじっと見ていた。
横にはチャイナ服の男が立っている。
「よぉ、サミュエル。仕事は終わったか?」
「ああ、今ちょうど終わったところさ。
全くひでぇ送迎だったぜ」
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