パリ市内の住宅街、少し先に凱旋門を望む町にて
「ルイーシャ、どこへ行くつもりだ?」
男の声が彼女を引き止めた。
「どこって、、、それ言う必要ある?ルーカスさん」
いつも通りの妖艶な声、しかし、その中には確かな殺気が籠っていた。
「アーサーのことで怒り心頭なのは理解している。だがアーサーは無事だし、我々としてはこれ以上の事態の悪化は避けたい.....言いたいことはわかるか?」
ルーカスはルイーシャをなだめるように、押しとどめる様にルイーシャを説得しようと試みる。
「だから何?結果論でしょ?それ。アーサーを殺そうとした事実は変わらない。」
かぶせるようにしてルイーシャは言葉を浴びせる。”止めたって意味はない”そう暗に突き付ける。
「結果論だからだ。それに、アーサーがやられた相手だ。君には勝てない。それに事態が悪化すれば、君だけでなくアーサーの経歴にも傷がつく。それに、相手は他国の”来客”だ。下手なことをすればこの国のすべての人間が危険に晒される。それくらい、君ならわかるだろう?」
しばらくの沈黙の後、呆れた様にルイーシャが言葉を紡ぐ
「はぁ.....わかったわよ。殺さなきゃいいんでしょう?話を聞くだけなら、許してくれる?」
”しょうがないな”と言いたげな、不愉快さを一切隠さない視線がルーカスに向けられる。
「ああ、話すだけなら構わん.....だがなぜ.....」
「あなた達に聞いてもどうせ話してくれないでしょ?何でアーサーが傷付いたのか.....」
見透かされている。そう感じた。
「当たり前だ。それに、アーサー自身も言わないだろう。」
「だから聞きに行くの。安心して、ルーカスさん。約束は守るわ」
そう言って彼女は踵を返し、軽い足取りで走って行く。彼女なりの真実を求めて。
リバティニアさんEDFさん、遅れて申し訳ない()